第79話 結界で夏バテ
今日はやたらと眠い。
バンスカー村での仕入れを終えて、今日から2、3日は結界で休養する。結界は時間経過無しに設定しているからのんびりしたい。
「カレン、今日のご飯はどうしようか?」
「ウィルコに任せてもいい?…私はご飯よりも眠りたい」
「そうなの?肉っぽいメニューになっちゃうけど食欲出てきたら食べてね」
「うん、ありがとう」
ウィルコがモニカやルイスと一緒に唐揚げを揚げたようだ。自分の部屋で眠っていたらウィルコが呼びにきたのでテーブルについたが食欲が無い。
「カレンはカレンが食べたい物を食べなさい、無理に私たちに付き合う必要は無いのよ」
モニカのアドバイスに従ってインターネット通販で桃の缶詰とパイナップルの缶詰と飲むヨーグルトを買った。フルーツを食べたかったけど皮をむくのも面倒だった。
肉は?とルイスが何度か薦めてきたが今日はフルーツを食べたいからと答える。久しぶりの桃缶はやっぱり美味しい…夏バテなんてしたことないのにな。
── 翌日も食欲が無かった。
今日は昼ごはんにアイスを食べようっと。朝は起きられなかったが休養中なので問題はない。たくさん働いたから良いのだ。
インターネット通販で購入可能なアイスの中で1番高いバニラアイスを買った。普通のスーパーでは売っていない高級な業務用のアイスだ。
「これは絶対に美味しいやつだから、みんなの分もね」
牛乳好きな私の一押しフレーバーであるバニラを人数分買った。
「これは美味しいわね!」
「モニカも好き?」
「僕も気に入ったよ」
「ウィルコは絶対好きだと思ったよ」
特にコメントは無いけどルイスも気に入ったようだ、スプーン運びに勢いがある。
ちなみにルイスとモニカとウィルコには500mlサイズを買った。それでも足りなそうってどういうこと…。あんなにお肉を食べた後なのに。
「それよりカレン」
アイスを一気食いしたルイスが私に向き合う。
「なぜ具合が悪いと素直に言わない?」
「へ?」
「自分でも気付いていないのか?」
── 私が?
「カレン?本当に?」
モニカが不安そうだが体調不良の自覚はない。夏バテの自覚はある。
「テラを呼ぼう」
ルイスがため息混じりに手配した。その間、急に心配性になったモニカが狼化したと思ったら私を抱いて丸くなった。せっかくなのでモフモフを堪能させてもらう。
「過労からくる夏風邪ね」
「…死んでも風邪をひくの?」
テラ様の診断は夏風邪、でも私はもうヒトダマだし…。
「そりゃあ、ここでは人型をとっているから」
そうだったのか。
「ステータスを見てごらんなさい」
テラ様に促されて自分のステータスを表示させる。
【名前】花蓮
【種族】ヒトダマ
【性別】女
【年齢】7歳
【状態異常】夏バテ、過労、夏風邪
【職業】神の助手
【体力】57/220
【能力】S+
【スキル】
鑑定
アイテムボックス(容量無制限で時間経過無し)
言語理解
瞬間移動
ウィルコ世界の人間への強制力
【犯罪歴】なし
【犯罪指数】0%
【今月の職業貢献度】43%
「本当だ…体力も落ちてる」
今月は10日ほど消化している。この段階で今月の貢献度が43%までいってるのは、まずまずだな。
「カレンたら今月の売上達成率を確認する営業マンみたいな目になっているわよ」
…モニカは鋭いな。
「カレンは寝ろ」
狼化したルイスに後ろから襟を咥えて持ち上げられ、そのままベッドに運ばれた。今日も子犬扱いだ。
確かに身体が怠くて、いくらでも眠れそうな気がするので寝ようかな…と思ったら心配顔のモニカ狼とルイス狼とウィルコが部屋から出て行かない。…というか、ずっと見られている。
── 眠れないよ!
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