第49話 村長の家にお泊まり

「外の井戸で洗ってから持って来たよ!」


 ウィルコがダッチオーブンと食材を運んできた。この辺りの食文化はスイス…ドイツ語圏のスイスだと見当をつけてみんなにスイス料理のレシピ動画を見せておいてよかった。


「メインは牛肉のクリーム煮とロスティにしようよ。メラニーさんは牛肉は大丈夫?」

「え、ええ」

 ウィルコがグイグイくるのでメラニーさんが戸惑ってる。

「メラニーさんが妊婦さんだから気にしてるんだよ。私たち妊婦さんと一緒に過ごしたことないから。食べたくないものがあったら、ちゃんと言ってね」

「ありがとう牛肉もジャガイモも好きよ」


 ウィルコがジャガイモをチーズ下ろし器で細切れに下ろす。

…チーズに出会う前から持ってた。クエンカでガンホーさんに作ってもらったから。


 熱したフライパンにオリーブオイルをひいて、ジャガイモを平らにして焼く。パンケーキみたいにね。塩をふって中火でじっくりと焼いたら裏返して焼く。これがロスティ。


 その間にモニカがクリーム煮を作る。

 オリーブオイルで微塵切りの玉葱とニンニクを炒めて肉を入れて塩。火が通ったら生クリームを入れて弱火で煮る。胡椒を振りたいなあ。ロスティにクリーム煮をかけたら出来上がり。

 だけどルイスとモニカは当然足りないのでダッチオーブンで肉と根菜をローストしてる。今日は豚肉でローストポークを作ってるみたい。


「出来たぞ」

さっそくみんなで食べるよ。

「いただきまーす」

ロスティにクリーム煮を絡めて一口。

「美味しい〜」

「こんなに美味しいんだから、牛乳のレシピが広まるといいねえ」

私とウィルコはパクパク進む。


 アンリさんとメラニーさんも恐る恐る食べてみたら美味しくて驚いたって顔だ。

「とっても美味しいです」

「肉も食えよ」

 ルイスがローストポークを2人に取り分ける。ダッチオーブンでじっくり焼いたから柔らかくて美味しいよね、2人のびっくり顔が楽しい。

「この鍋はすごいんだ。明日、広場で売る時にデモンストレーションで煮込み料理をやるから食いに来てくれ」


 私はロスティとクリーム煮を完食してお腹いっぱいだ。

「なんだ、カレンはもう食わないのか」

「美味しかったよ、でももう充分だよ」

「早く大きくなれ」

「また無茶言って!」


自分の肉が減ると機嫌が悪くなるくせに!

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