第36話 ステファンとマテオ
翌朝、残りのパンとオムレツとキャロットラペで軽く朝食にして出発した。
昼の休憩で身体を伸ばす。
伸び〜っとしたり屈伸したりグルグル回したりして身体をほぐす。
「カレンちゃんの年齢で旅は大変だね」
ステファンとマテオが話しかけてきた。この2人は警戒心が強くて打ち解け難かったんだよね。
「そんな事ないよ、みんなで旅するの楽しいよ!」
無邪気をよそおう40代。辛い。
「ご両親は商人だったのか?」
「うん仕入れの旅で盗賊に殺されちゃった。ルイスとモニカが帰ってきてくれて、それからずっと一緒!」
「そう…」
ステファンとマテオの顔が曇る。
「2人は?」
「俺たちは孤児だった。家族を亡くした時、すでに大きかったし多少腕に自信があったから荒っぽいところで働くようになって…でも犯罪にだけは手を染めたくなくて転々としてパオロさんの店に行き着いた」
「2人は兄弟なの?」
「いやパオロさんのところで出会った」
「境遇は似たようなものだ」
「そうなんだ。家族を亡くした事ない人っていないよね。みんな大切な人を亡くしてる。王都の家のお隣のエレナさんは娘さんを勤め先の貴族に殺されたんだって。でもこれからは安心して暮らせるよね」
無邪気を装って笑う。
「…そうだな」
「過去を恨んでも仕方ないな」
「いい世の中になったと思う?」
「ああ」
「辛かった分、希望でいっぱいだ」
「私も!」
ステファンとマテオと微笑み合った。
嘘をついた。本当はもっと温い世界で生きてた。
でも希望が持てる世の中になったと心から思って貰えるように頑張るよ。
時々ウィルコが不憫な孫を見るような目で2人を見ているのはどうしよう…めちゃくちゃ不自然だからね!
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