第11話 王都に引っ越し

「私たちも王都で暮らすの?」

 モニカが首を傾げる。さりげない仕草まで色っぽい。


「うん、現地で肌で感じる感覚って大切だと思うの。治安も大分良くなったと思うけど、実際に住んでみたら、そうでもないかもしれないし」


 ウィルコの結界で暮らしながら世界の立て直しに取り組んで一週間が過ぎた。

事業計画の最初の一歩は順調だった。


「ステータスの導入と神様の強制力で犯罪者の一斉取り締まりの二つを実施して、社会も落ち着いてきたでしょう? PDCA…Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のPとDが終わって、今はCの段階だから実際に王都や地方都市を回って現状を確かめるの」


 問題なく社会が動いていればOKだ。計画通りに進まなかった場合はその原因の分析をする。計画通りに事が進んでいれば成功要因の分析を行う。

 それを基に次の段階に進む。引き続き計画通りに進めるのか? 改善しながら続けるのか? 計画を中止、又は延期するか?


 それに、せっかくの異世界だから現地を見て回りたかったんだよね。


「都市計画に手をつけたばかりだけど、文化面とかもケアして行かなきゃならないでしょう? 実際に現地を見て回ってから計画を立てたいなって」

「いいじゃない、私も現地の生活に興味があるわ」

モニカは私と同じ気持ちのようだ。

「どういう設定にしようかな?」

 ルイスとモニカは夫婦なのかな?同僚なのかな?あんまり付き合っている感じしないんだよね。


「うーん、カレンは私たちの姉か妹の子供ってことにしたらどう?」

「それが無難だな」

「二人は兄弟なの?」

「そうよ、私が姉でルイスが弟」

「カレンは姉の忘れ形見ってとこかな」

「そうね、カレンの顔立ちはくっきりしてるし髪と目の色も同じだし私たちが家族って設定は自然よね」

 二人の姪になった、好みのタイプなラテン顔の二人に似てると認定されたようで嬉しい。


「僕は?」

 ウィルコのことを忘れていた。もちろんウィルコも連れて行って教育しなければならないけど、ウィルコは私たちの誰にも似ていない。金髪のヒョロヒョロな王子様顔だからね。

「ウィルコと家族で通すのは無理があるよね」

「俺の弟子でいいだろう」

 モニカとルイスは姉と弟でウィルコはルイスの弟子。いいんじゃないかな!


「どこを拠点にするか決めたのか?」

「うん、王都のこのブロックにある路地を自宅にしちゃうよ」

 王都の中心に近いブロックにある路地を家にしてやった。かなり細長いが2/3が私たちのエリアで1/3がウィルコのエリアだから、実際にはちょっと細長いだけだ。

 真ん中は共有エリア兼中庭。3階建てで1階部分は店舗になる。一応設定は商人だし、今後商業や経済や文化面のテコ入れが始まったら、どんどん活用していきたい。

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