第6話 この世界について知る
まずはシモンが送ってくれたPCの設定を確かめよう。
見た目は普通にパソコンだ。電源ボタンを押して…電源は必要ないらしいから電源ボタンじゃなくて起動ボタンて呼んだほうがいいかな。…起動した。見慣れたWindows画面に似てる。Chromeに似て非なるブラウザを立ち上げてみると…Googleに似て非なる検索画面がホームに設定されてるな。
何か検索してみよう「農業 改善事例」で検索っと…日本語だけでなく、あらゆる言語の検索結果が表示される。ヒョロ神に頼んだ基本的な能力はバッチリだな。
地球の言語能力を付けてもらって良かった、全部読める。伝染病の対策で英語の論文を読むこともありそうだし。日常会話レベルの英語しか出来ないから専門的な単語が多い論文は自力では読めないんだよね。
通販も試してみようデスクトップのアイコンがそれっぽい。起動してみると当たりだ。あらゆるカテゴリーがある。
今はちょうどお昼…何か買うか作るか…。
モニカとルイスは何を食べるんだろう?
狼の姿で寝転んでいる2人に聞いてみよう。
「ねえ、ルイスさんとモニカさん」
「モニカとルイスでいいわ」
「俺たちもカレンと呼ぶ」
気さくで優しい。嬉しい!モフモフ!
「えへへ、ありがとうモニカ、ルイス。あのね、そろそろお昼でしょう?何か買うか作るかしようと思うんだけど2人は食べたいものある?」
「私たちは苦手なものは無いな」
「何でも食べるし料理も出来るわよ」
「!:@&¥-?¥&!!!」
遠くでロリコン神が叫んでいるが無視だ。
「2人の世界は高度なレベルなんでしょう?どんなものを食べているの?」
「肉と野菜と魚と穀物だが俺たちは肉が好きだ」
ルイスの回答は間違っていないのだろうが聞きたかったことと違う。モニカも肯いてるし!神様だから人間と感覚が違うのだろう、質問する時は聞き方を工夫しよう。
「¥&?!3@#%^*+=€$!!」
無視…
「カレン、さすがに無視は良くない。力を合わせてやっていく相手だ」
「ソウデスネ…」
嫌すぎて片言になってしまった。
ちなみにロリコン神は私たちのエリアに入って来られない。
地球の神様とシモンが帰る前に私たちのエリアとロリコン神のエリアをきっちり分けた。キッチンもお風呂もトイレも別だ。
「じゃあ一応何を言っているか聞いてみます」
人型に変化したルイスとモニカと一緒にロリコン神の声が聞こえるところまで近づいた。
「カレン! 僕はカレンの世界のピッツァを食べてみたい!」
「…もしかして盗聴器でも仕掛けられているの?」
「いや、そんな不審物は存在しない」
「さすがにこの世界の神だけあって能力は高いようね、私たちの会話が聞こえていたみたい」
「せっかく侵入禁止にしてもらったのに! やだ!キモい!」
「結界のレベルを上げておこう、もう聞かれないし、向こうの声も聞こえん」
「ありがとうルイス!」
思わずルイスに抱きつく。
「ああー!それ僕がやりたかったのに!カレン、ウィルコパパだよ〜」
「これは無視して良いわ」
「うんモニカ」
「今後の話もしなきゃならんしウィルコも含めてメシでいいだろう」
ルイスが言うなら仕方ない。
「ウィルコだけ有料です!」
「もう〜カレンはツンツンしても可愛いな〜、はいこれパパからお小遣いだよ〜」
向こうから断って欲しくて有料と伝えたら、この世界の通貨らしいものを渡された。金貨っぽい、たぶん結構価値が高い。
「共通エリアのリビングに行きましょう」
モニカが手を引いてくれる。ウィルコ対策はルイスにお任せだ。リビングでの座席順もウィルコと離れるようにしてくれた。
「じゃあウィルコの希望のピッツァを買うよ」
「飲み物はコーラね!憧れだったんだ」
こいつ地球の映画を観まくってそうだな。
宅配ピッツァのサイトを開いてウィルコ名義でログイン。目の前に現金投入口が現れたので渡された金貨を入れると残高3万円と表示された。本当に高額貨幣だった。自動販売機みたいにお釣りを出せるから高額でも問題なさそう。まずはウィルコの注文を確定させて黙らせよう。
ウィルコにタブレットを見せる。操作出来るのは私だけだから近寄らざるを得ない。
「まずウィルコの分を決済するから食べたいものを選んでね」
「皆んなで食べようよ!」
「でもウィルコのお金だし」
「そんなの構わないよ」
「…ちなみに、このお金はどこから?」
「え?この世界だけど」
「ウィルコがお金を使うと、この世界から富が失われるということ?」
「うん!」
この世界が滅びに向かっている理由の何割かはコイツで確定だ。ルイスのこめかみに青い筋が浮かんでピクピクしてる…。
「カレン、私たちの一食分くらいで状況が悪化することはないから。とりあえずこの食事を済ませましょう」
モニカのとりなしで注文を済ませる。6千円くらい使ってしまった。この世界の皆さんごめんなさい。
お届け先は複数設定可能…ウィルコのアカウントで買ったもののお届け先は共通のリビングでいいな。
この他にも私の部屋とか目の前とか自由に設定出来るらしい。それは私のアカウントで設定しよう。
「確定ボタンを押して…わ!出た!」
確定ボタンを押したら4人で囲んでいたテーブルに冷凍ピッツァと飲み物が並んだ。
具材もサイズも価格もアメリカンだ。飲み物にお茶があって良かった、ピッツァでコーラは飲みたくない。私の希望で烏龍茶とミネラルウォーターも注文した。
共有キッチンのオーブンで全部を温めてテーブルに並べる。
「わあ! 映画で観たのと同じ!いただきまーす!」
ウィルコがペパロニのピッツァに手を伸ばす。アメリカといえばペパロニだよねえ。私はマルゲリータ!
「美味しい!」
ウィルコの目がまん丸だ。
確かに美味しい、このマルゲリータも良いモッツァレラを使ってる!バジルも新鮮で香り高くてすごく美味しい!
「カレンの世界は文化レベルが高いんだな」
「ええ美味しいわねえ」
「えへへ、ありがとう」
ルイスとモニカに褒められると嬉しい。
ウィルコは調子に乗って厚底なシカゴピザやサイドメニューも頼んだ。全種類を貪り食っている…いや、がっついていても品がある。悔しいが神だ。
そして私は子供。美味しいけど量が食べられない…無念。
残るかと思ったけど綺麗に無くなった。ウィルコが食べ過ぎなのと、身体の大きいルイスは普通にたくさん食べるしモニカも結構食べる。おかげで皆んなの食べる量を大体把握出来た。
食後のお茶を飲みながら今後の方針を伝えた。
「ウィルコにお小遣い制を導入します」
「お小遣い制?」
「そうです、この世界の富を際限なく浪費していては立て直しは不可能です」
ルイスとモニカが肯いているがウィルコは真っ青だ。
「ウィルコのお小遣いは毎月、金貨2枚です」
「む! 無理いいいいいい!!!」
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