第152話 それぞれの発見

「む・・・・これは?」


シロは何かを見つけた。

人ではない、別の者が放った魔法の残滓、その名残とでもいうべきか。


シロでなければ見つけられないほどのわずかなその・・・・名残。


シロは周辺を探る。


すると、周辺に同じような・・・・


辿ると、一か所、特に色濃く残っている部分がある。


「ここで魔法を放ったのか・・・・?」


さらに進むと・・・今度は血の匂い・・・・と言ってもそれはほんのわずか、木々にしみ込んでいる、わずかなもの。


雨風にさらされてもなお残っていた・・・・その血は・・・・


「これは・・・・エルフのか?複数だな・・・・」


そして・・・・シロは急に危険を察知し、その場を確認もせず飛び退いた。


「何だ?」


そう思いつつ、その場を全力で離れる。


あれは留まってはいけない。


そう本能が告げていた。


シロはフェンリル。そのシロが全力で離れなければならないほどの危険。


がむしゃらに離れるが、間に合わない。どんどん傷ができる。


「く・・・・影か!」


これでは逃げられない・・・・


だがそこに・・・・


「こちらだ!」


確認もせず、シロは木を伝い上に。そして、空へ飛び出す。


目の前には、やはりボロボロのポチが。


シロはポチの背に乗り、その場を離れる。


己の影と、ポチの影に口から火の玉を放つ。


影が燃える。


いや、普通ならあり得ないのだが・・・・燃えた。


そして、シロはポチの後方へ向かって、数発の火の玉を吐く。


何もない所から轟音とともに燃え上がる。


「おいポチ、何だこれは?」


「わからぬ・・・・いきなりだったからな!」



ポチも周辺を探っていたのだが・・・・何か下で魔力を感知したので、向かってみれば・・・・


何かがいきなり飛び出し、ポチに攻撃を。


普通なら鱗で跳ね返るのだが、鱗を貫通する威力。


しかも見えない。


何処から攻撃しているのかと思っていると、シロの気配があったので近づくと、同じように攻撃を受け、どうやら己の影らしいと判断、一度シロと合流し、見極めようと。


暫らくのち・・・・


「何だったのだ・・・・」


「何かの結界か?そうは思えなかったが・・・・」


「一度主の元へ戻るか・・・・?」


「暫く待とう・・・・襲ってきた気配が無ければいいが・・・・もしついてこられると主は兎も角、主の番共には対処できまい・・・・」


「そうだな・・・・さてどうするか・・・・」


結局しばらく様子を見ても、何も変化がないので、一度戻る事に・・・・


・・・・

・・・

・・


「シロとポチが戻ってきますよ?」


デイフィリアが教えてくれる。


「ちょっとルドメロ、様子が変よ?」


エウラリアが警戒する。


「おお!怪我をしているじゃないか!どうしたんだ?」


エメリナが従魔に声をかける。


「その前に、回復を・・・・」


ローサが回復魔法で従魔の怪我を治療する。


「どうしたんだ?シロとポチが怪我をするなんて、よほどの事があったのかい?」


「ああ主よ、油断は決してしてはいなかったのだが、想定外の攻撃を受けてな。影から攻撃を受けた。」


「影?」


「ああ・・・・自らの影が攻撃をしてくるのだ・・・・ポチにしても、空から見えない何かに攻撃を受けたようだ。」


・・・・これは厄介だな・・・・4人を帰すか?僕だけなら対処できる・・・・?

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