第119話 思い違い

「やっと来たわね!ちょっと遅かったんじゃないの?」


エウラリアはいきなりそう言って僕に突っかかる。何時もの事ですが。


「そうだな。もう少し早くても良かったんじゃないか?皆待ちくたびれてたんだよ?」


エメリナもそう言う。


「そんな事言っては駄目ですよ。まだ約束の時間より早いのですからね。」


流石のローサ、彼女が一番全体を見てくれている・・・・


「お待ちしてましたわ、ルドメロ様。」


最後にデイフィリアがそう言ってくれる。


一番年下の彼女。でもこの世界ではもう結婚していい年齢。


「待たせてすまなかったね。」


僕はそう言い、皆に座ってもらう。


「僕の事はきちんと説明したつもりだけど・・・・ここに指輪が4個ある、これはそう言う意味でいいのかな?」


「勿論だ!」


僕は残念な結果と思ってそう聞いたら、エウラリアが顔を真っ赤にしながらそう言う。


ああ、知らずに怒らせたのか・・・・


心の中で謝る。


「私達4人の答えは皆同じだったから、こうやって置いたのだ!」


エメリナもはっきりそう答える。やはり顔が真っ赤だ。昨日の対応が余程失礼だったのだな・・・・


もっとこの世界の女性について学んでおけばよかった・・・・


「4人とも結論が同じだったので、正直驚いているのですよ?」


あの優しいローサまで顔を真っ赤にして・・・・


「そう言う事です。ルドメロ様・・・・」


最後にとどめの一言。


正直何があっても彼女だけは・・・・と思っていたので、意外だった。


「・・・そうか、皆の答えは・・・・重く受け止めよう。僕はこの世界ではない所から来たから、どうかと思ったけど、同じなんだね。婚約指輪を机の上に置く・・・・つまり・・・・僕は君達とその・・・・良好な関係と思っていたから・・・・婚約破棄と言う事だね・・・・すまない、正直何が君達を怒らせたのかわからない・・・・4人共そんなに顔を真っ赤にさせながら怒るとは・・・・」


俺は指輪を見つめながらそう言った。だが何か変だ。


「ちょ・・・ちょっとルドメロ、何言ってんの?」


「そうだ!そこは喜ぶ所だろう?」


「ええと、私達の常識とルドメロ様の常識が違う?」


「私達4人・・・・ルドメロ様と結婚するって決めたんですよ?」


・・・え?・・・・えええ?



「え?ええええええ!ええとその・・・・つまり・・・僕の知る限り、婚約指輪をこうやって置くのは、婚約破棄、無かった事に・・・・お返ししますって意味なんだが・・・・?」


僕がそう言うと、皆驚いた顔をし、


「何言ってるんだ!こうやってもう一度指輪を皆にはめろって意味じゃないか!」


エウラリアが別の意味で顔が真っ赤になって熱弁をふるってる。


・・・・え?そうなのですか?知らなかった・・・・


「あ・・・・その・・・念の為に聞きますけど、私達の答えはルドメロ様と結婚したい、ですが、ルドメロ様のお気持ちはどうなのでしょう?」


デイフィリアがそう言う。勿論決まってるじゃないか!


「僕は・・・・4人とも結婚したい!だけど・・・・僕のいた世界では、結婚するのは一人だけなんだ。この世界では・・・・一夫多妻制なのかい?」


「無論そうだぞ?強いオスにメスが群がるのは常識ではないか!」


エメリナも負けじと熱弁。


「そうですよ?まさか知らなかったとか?」


ローサが呆れた顔でそう言う。


「全くもって・・・・知らなかった・・・・ええと、ではその・・・・今後ともよろしく頼むよ。」


勘違いって怖いな。

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