第60話 記憶を失う前のルドメロの秘密

「わかりにくいですね。ああ、今までの事を私は記憶していますから、ご心配なく。」


・・・・私の知っているルドメロ様は何処へ行ったのでしょうか?


「さあ、パパッと治療してしまいましょう。デイフィリアさん、しっかり見ていて下さい。そして・・・・彼に後で教えてあげて下さい。貴女は、王家の口づけをルドメロに捧げた身でしょう?貴女が裏切る事はない。信頼していますから。」


私はそっと抱きしめられました。えっと・・・・喜んでいいのかしら?別におっぱい触ってきませんし、お尻も揉まれません・・・・思わず涙が・・・・


「心配いりませんよ、僕もルドメロの一部だから。ああ、そうそう、彼は色々な下着を出すと思いますが、あれは私がこっそりとあらかじめ用意してあるんですよ?流石にドラゴンの鱗をそう簡単に布にできるわけではありませんからね。彼が寝て、誰もいない時にほんの数分、出てこれるのですよ。この額の傷が完治できれば・・・・ですが、難しいでしょう。さて、時間がないので・・・・開始しますよ!そこの彼、彼女の腕をしっかり持つ、そう!彼女には血を患部にかけます。」


腕がちぎれてますね・・・・あ・・・・流石ですね・・・・治っていきます・・・・


「少し飲みなさい。失った血をこれで補えますから。血はもういいですね・・・・後は広域治療ですね・・・・皆を集めて。」


動ける人は近くにやってきました。


「負担が大きいですから・・・・皆さん、隣の人の手を握って下さい・・・・絶対に放さないで。連なっていないと私の魔法では効果がなかなか得られないのですよ。もっと時間があればいろいろ研究できたのですが、10歳の時にそれができなくなりましたからね・・・・では!」


・・・・凄いです・・・・ルドメロ様はからものすごい魔力が・・・ってあら?これは?治療する人の魔力を使っているのですか?


暫くして、終わったようです。


「ふう・・・・きついですね・・・・もう治りましたよ?」


「凄いな・・・・その・・・ありがとう!」


「どういたしまして・・・これでいいですか?」


「ああ・・・・すまない・・・・」


「・・・・クランリーダーがいないようですが・・・・どうしましたか?」


「・・・・死んだよ。ボス部屋で。ローサと共に最初にやられたよ。」


「・・・・ではあなたが今のクランの代表ですね。では・・・・今回の対価は別に物では求めません。金はありますからね。万が一何かあった場合、私の後ろ盾になって下さい。それだけですよ。」


「・・・・そんなのでいいのか?」


「そんなの・・・・と言いますけどね、恐らく私はもうすぐ気を失います。起き上がれば今まで通りのルドメロに戻ってますよ。そして、ダンジョンから出れば、国王に恐らく国を追放される身ですからね・・・・」


「え?それはいったいどういう事でしょう?父上がそのような事をするはずありません。」


「・・・・国王陛下からすれば、私は第3王女をかどわかし、攫ったと思われているはずですよ。」


「そんな事は・・・・だって・・・・私の婚約者ですよ?しかも私の方からその・・・・」


「最初からよく思ってないのですよ、貴女のお父様は、私の事を。」


「そんな・・・・どうして?」


「知ってか知らないか分かりませんが、国王陛下はそれはもう貴女を一番可愛がっていると言うではありませんか?それをどこの誰とも知らぬ馬の骨に奪われたのですからね・・・・心中察するに何とかですよ。まあ馬の骨というよりは、馬に踏まれた、ですけどね。」


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