第14話 予知姫

「姫様!あんなエロガキ・・・・失礼、あんな誰とも知れぬ者に、姫様御自ら口付けをするなど・・・・」


「言っておきますが、前から決めていた事。後悔はしていませんわ。」


・・・・あかんこれは駄目なパターンだ・・・・お付きの女騎士は皆、そう思った。


10歳ぐらいの子供にありがちな・・・・だが、そうではなかったのだ。


「勿論、5年前の出来事に、色々思う所はありますが、それはあまり関係ありません。彼は、今後王国の未来に欠かせない人材なのです。」


「・・・・姫様、それは・・?」


「・・・・なぜわたくしが、ルドメロさんと今日お会いする必要があったのか?と言う事になりますが・・・・5年前にもあったのですよ、予知が。そして今回も。今日、この街道付近で、運命の人と口付けをしなくてはいけない、と。」


予知姫デイフィリア・・・・国にとって重大な岐路にあった時、発動すると言われる、ユニークスキル。それが、このエロガ・・・・男性に、2度も現れたというのだ。


「では、馬車に撥ねられたのは・・・・?」


「ルドメロさんには申し訳ないと思っています。ですが、あそこで刎ねないと、今のルドメロさんではなかったのですよ。予知では、ルドメロさんを撥ねるようになっておりました。しかも、あそこで刎ねないと、王国は今後50年で滅んでしまう、と。」



「え?そんな危機だったのですか?」


「ええ。しかも今回は、あそこでキスをしないと、10年以内に王国は大打撃を受けると出ました。」


「信じられません・・・・あんなエロガキが・・・・失礼、姫様。」


「いえ・・・・あの人がエロいのはわかっていました。まだわたくしはおっぱいありませんし・・・その、ごめんなさいね、私の代わりにおっぱいを、その・・・・」


「いいえ、国の為ならおっぱいの一つや二つ・・・・」


うん?何だ?すんげえ変な目で見られてるんだが?


ああ・・・・俺様、あんなガキンチョと婚約かあ?仕方ねえっちゃあ仕方ねえ。口づけをかわしてしまった以上、結婚するしかねえ。


しかし・・・・やられっぱなしってのもなあ・・・・だが、相手はまだガキンチョだ・・・・もっかいキスしとくか?いや・・・・無理だな・・・・俺様の守備範囲じゃねえし。仕方ねえ。このままずらかるか。おっぱい女、名残惜しいが、仕方ねえ。


「おい、もういいのか?俺様、もう行くぜ!」


「あ、待って!」


「ああ?何だガキンチョ・・・・デイフィリアだっけか?」


「あ、名前覚えてくれたんですね、ありがとうございます。今後のルドメロさんの行く手に幸多かん事を。」


なにやら”シュクフク”つうのをしてくれたようだ。


シャーねえ、最後に抱きしめてやるか。


「なあ、俺様、デイフィリアと婚約したんだな?」


「ええそうですわ。わたくしは想い人と婚約できて、満足ですわ。」


「そうか・・・・俺様が想い人だったのか・・・・ならいいんだがな。別れる前に、しっかり抱きしめてやんよ?」



俺様、ガキンチョに抱きつく趣味はねえが、ここは我慢だ。折れそうだ・・・・やさしく抱いてやっか。


おお?いっちょ前に抱き返しやがる。あ?キス?シャーねえ。


俺様、軽くキスしてやった。


「じゃあな!」


俺様は、ポチに乗って、この場を去った。ふっ!決まったぜ!


・・・・

・・・

・・



「宜しかったのですか?姫様。あのまま行かせてしまっても。」


「ええ。問題ありませんわ。しっかりルドメロさんの命に私を刻んでおきましたから。」


言ってる事はロマンチックぽいが、現実的には・・・・


「王家の姫、ちょおこえええ!」


だった。

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