別れのきっかけはどちらか

別れのきっかけはどちらか

　君が言った。

「愛してたって今更何？」

　って。

　だからどうせ叶わないならかまかけて玉砕しようとした僕の考えの甘さ具合に腹が立った。

　君は微妙に冷めたコーヒーみたいな声で言った。子供だったら苦くてまずいと吐いてたところだろう。

　君は僕の表情をしばし見つめてから、はぁと大きくため息をついた。

「君のそういうところが嫌いなのよ。」

　そういうところ…。僕のその甘さに対してのことだろう。

　小さくごめんと呟くと再び君はため息をついて言った。

「そういうところもね。」

　君はすくっと立ち上がる。ふわりとローズの香りがした。

「じゃ、話は終わり？帰るね。」

　もうあの匂いがシャンプーか柔軟剤かはわからない。