格安のホテルにて
ツヨシ
第1話
先に出張に行っていた先輩が、私のところにやって来て言った。
「おい、今回からあそこの会社に出張に行った際に使うホテルが変わっただろう」
「ええ。なんでも格安のホテルが見つかったとかで」
「やっぱりな。で、この次の出張はお前だったな」
「はい。新製品ができてからなので、しばらく先の予定ですが。それがどうかしましたか?」
「うーん、なんと言ったらいいか。まつ、とにかく気をつけろ」
「気をつけろ。何に?」
「いいから気をつけるんだ。わかったな」
「はい。わかりました」
わかりましたとは言ったが、もちろん私は何がなんだかわからなかった。
いったい何をどう気をつければよいというのか。
そんなことがあった次の日、会社で先輩の顔を見ることはなかった。
欠勤したのだ。
理由は体調不良。
かぜでもひいたのかと思い、さして気にもしなかった。
が、次の日もそのまた次の日も、先輩が顔を見せることはなかった。
上司が何か知っているらしいので聞いてみようかとも思ったが、よくはわからないが面倒なことになりそうな気がしたのでやめておいた。
そしてその後も先輩が出社してくることはなかった。
一ヶ月近く経っても、先輩は会社に来なかった。
これはいくらなんでもおかしいと思っていると、上司が朝礼で言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます