石ころのプリンセス

寿元まりん

プロローグ

「ねぇ、知ってる?」


 コソコソと聖霊たちは、美しい髪を春の風に靡かせながら、綿飴の様にふわふわなピンク色の雲の下でお話をする。


「ダイヤモンドの国のプリンセス…いなくなっちゃったんだって」


 澄み切った海の様に美しいマリンブルーの髪を持つ聖霊が、悲しそうに呟いた。

 昼下りの、オレンジ色に染まったばかりの空に言葉の粒を漏らすと、口からこぼれた粒は水色の星の様な形をして、地面に溶け込んだ。


「どうしてなの?」


 光り輝く紫色の髪を持った聖霊が、不思想に尋ねる。


「プリンセスはとても美しくて魔石力も高かったけれど…」


 口を開いたのは、エメラルドの宝石の様にキラキラとした『宝石眼』を揺らす聖霊。

 悲しそうに、その美しい目を伏せた。


「呪われてしまったの…。ダイヤモンドの聖霊に…。」

 

 ☆

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