2010年 春(1)



ころころり何処かに忘れた音がするガムランボールの澄みし歌声






これほどに何故愛される桜の木遺伝子レベルの話かと思う






花を見てきみを見てなお気が晴れぬ曇りの空を映す胸中






できのいい歌を読んでは自分にもそんな世界があると信じて






水晶に歴史を聞けどわたしには氷砂糖の甘みすらなく






頑な心はいつかごろごろと胸のなかから発掘される






静謐なきみの世界はきみすらも立ち入ることのできぬ箱庭






執着を捨てても捨てても手に余る終着駅にたどりつかない

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