休日の予定
そして授業の時間がやってくる。
基礎判定は終わって、知識のほうは入学試験でおそらく見極められているはず。
そうなると今日からは何をするんだろう。
礼儀作法というのはもちろん今後どこかでやるだろうけど、そこは家でやっている子も多い学園のはず。
「全員揃っている。よし、それじゃあ早速といきたいが、その前にこの学園で不定期である特別授業について話しておきたいと思う。よく考えると伝え忘れていた。すまない」
先生はそう言うといくつかの特別日の名前らしきものを書いていく。
『姉妹学園間交流会』『学園主催パーティー・舞踏会』『特別ドレス展覧会』が特に目立つように書かれている。
なんとなく内容が想像できなくもないけど、詳細まではわからないからしっかりときいておこう。
「えー、特に重要であったりするのが上の3つだ」
大きく書かれたそれはやはり重要か。
「交流会はこの学園というよりはフィオラ家と姉妹関係にある家が軸として運営されている学園との交流会で。簡単に言えばこちらは男性の学園だな。この国では女性が才能を開花しやすく、立ち場も上の文化が根づいている。とはいえ、男性が必要のないかと言われればそんなことは全く無い。体格や才覚抜きにした一般的な生活においては男性が必要な場面も多いからな。その中で、男性も個人が持ちうる力を最大限に成長させようということで作られたのが姉妹関係にある学園ということだ」
まあリチアさんの家にいる騎士も男で才能を開花させるタイプの人だし、そういう人を見つける場にもなっていそうだな。
ただ、ボクのことを女にしたあたり、男のままだと何らかの理由で発揮できない才能のほうが多いんだろう。
「ちなみに、現実的な話をすると君たちの中に貴族も多いが、この交流会で婿を見つけるということも例年じゃ少なくなかったりする。まあ女性同士でも魔法を使えば子をなせるから一概には言えないが、異性結婚のほうがやはり多いからな」
なんで注釈を入れたんだろう。それとも、むしろこの交流会の本筋はそっちなのか。
まあ、その場合はボクには関係のないことになるんだけど。
「それでパーティーもしくは舞踏会のこれは、学園関係の方が主催してくれるものだ。これはまあ一種の勉強と思って参加してくれればいい」
まあここはなんとなく想像通りだ。なんならリチアさんも主催をしていそうとすら考えられる。
最後のこれがよくわからない。
「そして最後のドレス展覧会だが。これはみんなも知っているとは思うが、この国で発展している産業のひとつの衣服に関するものがとても多い。その中で、ドレスを作っている名家がいるが、若い人の意見を聞きたいと思うが、無造作に売り出す前の物を見せるために飾るなどは避けたいということで、フィオラ家と学園の信頼もあって代表として評価する立ち場になる。おそらく、学園でみたものが、君たちが大人になって自分たちがパーティーや社交界などを主催する家を任される立ち場やそれに近くなるころにでてくるものも多いだろう。不定期で多くはないがこういう日がたまにあることは覚えていてほしい」
その後、他の日についても説明されていくが、そちらは学園でなくとも家次第では小さな催しをしたりすることもあるかもしれない日などで、意識するほどではない。というよりも、日が近づけばわかるものだった。
「まあ少しややこしい説明もあったが、以上だ。それじゃあ、今日だが……昨日まで行っていた判定の結果だが、他のクラスの結果とも合わせて比較などもあるから、もう数日はまってもらうことになる。ということで、これから数日はこの国の歴史について改めて教えていく」
そう言って、その後は座学が始まった。
ちなみに、バチバチとしてたあの4人だが、ドレス展覧会の話題で盛り上がったりと根っこから仲が悪いわけではなさそうだ。多分、結果で比較できるものでライバル視しているといったところだろう。
まあ、それはさておいて今までなら問題なかったことだけど。
朝の失態で休み時間が少し変わった。
「ノアさん。ドレス展覧会の話がでましたが、普段のパーティーなどはどのような? それとも今までは、あまりパーティーなどにはでていませんでしたか?」
「そ、そうだね。体も強くなかったからあまり表のそういうのにはでなかったかな」
「そうでしたか。でしたら、今度少々お時間をいただけませんか?」
なんとなく言われることは予想できてる。だから拒否したいけど、用事があるといって御魔化そうにも、実際にないしでっち上げてくれるほど仲の良い友人もいない。そうなるとここでアミリアさんとの関係性を壊したくもない。むしろ、アミリアさん以外だったらアミリアさんと用事を作ろうとしてたと思うし。
「い、いいけど。何を?」
「ドレスとはいいませんが、ノアさんのセンスを確認しておこうかと。入学試験や寮での部屋で言ってしまえばあまり気を使わないような服装などは見ましたが、普段の服装は見たことがありませんので」
たしかに制服で過ごしているから見せたことはない。特に外に行くこともないから、リチアさんが用意してくれていた服も中々着てはいない。
そこは申し訳なく思うけど、服の着方を学ばされている時に、半ば着せかえ人形扱いレベルの女性の押しを見たことがあるから、服を見に行くことに恐怖もある。
「……わかった。じゃあこんど学園が休みの日とかでいい?」
「もちろんですわ!」
ただ、ここで断る勇気がボクにはなかった。
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