第2ステージという名の味気ない日々の間にある野球部の全校応援

 夏に学校祭がある学校というのも一部地方にはあるので、そのころになると、野球部が夏の甲子園に向かって努力する時期である。

 つまらない授業がつぶれて、交通費がかからず、ただで野球を見ることができるというのは、アマチュアであっても面白いものである。

 さらに、気温が上がるといってもこの地方はせいぜい30度を切るから、熱中症にはなるかもしれないが、死ぬほど暑くもない。

 

 つまらない授業が続き、ろくでもない学園祭の準備に強制的に残らされている中で、野球部の連中は順調に勝ち進んでいく。

 地区優勝して、県広域大会へと向かう。

 県広域大会1回戦で、去年の甲子園出場校と戦うため、応援に駆り出されることとなった。


 香恋ちゃんがだるそうにしながら全校応援の説明をする。

 まあ、この人はこの学校の進学実績を上げるために雇われている部分があるので、全く関係のない部活のことや課外活動のことなど至極どうでもいいことなのは間違いないだろう。


 現地集合といっても、普段とは違い、バスで別の路線の地下鉄駅までいかなければならない。

 普段の駅までは自転車で20分程度であるが、地下鉄の駅まではさらにバスで20分かかるところにある。

 まあ集合時間もゆっくりだし、そんな早くいかなくてもいいので肉体的にははるかに楽なんだけれどもね。


 とにかく三好と一緒に適当に行くことにした。

 早良さんや若林は全然違うところに住んでるから一緒に行くことはない。

 そもそも関係ない。



 球場最寄りの駅で降りると、ご都合主義なので早良さんがいたと書こうと思ったがエンカウントしなかったし、若林や都島さんすらエンカウントしなかった。


 最もバスの前後でストーカーが三好の後姿を眺めていた。



 球場に集合すると、夏服の早良さんかわいいよ早良さんと思いながら、クラスの席につく。


 メガホンを持って適当に応援する。

 暑いけど気にしない。

 授業がさぼれるし、早良さんガン見しても怒られないし、こっちのほうが楽しい。



 野球部の連中は必死こいて応援しているが、相手も好投手、素晴らしい試合が行われている。

 野球部のほうを見てみると、若林さんが野球部のほうに行っていた。あいつ野球部の横で山まで走ったりしているからな。

 まれに紹介しろだの言われるが、アドレスを知らないふりをしている。めんどくさいから。



 ともかく野球の応援を適当にし、授業がさぼれる喜びを感じる。

 勝てばもう一試合全校応援が増えて授業がつぶれるので望ましい。


 しかしながら、夏の甲子園出場校は強いので接戦になって負けてしまった。


 午後からは学校祭の準備となる。


 早良さんがいる。


 図書委員の仕事について聞くふりをしながら話しかける。

 やはり特段ないとのことだった。

 若林さんのほうは大丈夫だろうか。若林さんのほうは、まあ空き教室の整理があったようなのでともかく学校に向かって準備をする。




 特に何もない夏の日々だった。




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