第22話 新人冒険者

冒険者ギルドの新人受付嬢クスカは、もたつきながら処理を終わらせ、ハルトに冒険者証と数枚の紙を渡す。


「冒険者の登録が終わりました。ランクはEランクからスタートになります。詳細はお渡しした書類に記載しておりますので、後程ご確認ください」


「あ、何点か今聞いても良いですか?」


ハルトはこの書類を確認して疑問が出たら、また列に並ぶのは勘弁して欲しいと思ったのだ。


「え? は、はい。どうぞ……」


想定外の事を言われてちょっと慌てるクスカ。


「先ず、この子猫のモンスターは、俺の相棒なんだけど、登録は必要ですか?」


ハルトは窮奇のキュウをカウンター上に乗せた。


(キュウ、余計な事は喋るなよ)

(分かってるにゃ)

「にゃー」


「え! か、かわいいー」

目がハートマークになって、思わず手を伸ばすクスカ。


ハルトは、キュウを抱き上げクスカの手からキュウを遠ざけると、クスカをジト目で見る。


「あ、あ、すいません。従魔の登録が必要です。こちらの用紙に記入してください。後はこの従魔の証を見える場所に着けてください」


ハルトは従魔登録用紙を受け取り、記入した後、従魔の証を見る。


ちなみに記入した内容は……。

名前 キュウ

種族 不明 (翼有りの猫)

主人 ハルト


ハルトが種族を不明にしたのは、窮奇と記載すると問題がありそうな気がしたからだ。


こんな記入でいいのかなぁ?と思って提出したが、受理されたのでひと安心した。


(従魔の証はバッチの様だが……)


ハルトは表裏を色々な角度から見るが、どうやって貼り付けるか分からない。安全ピンが有るわけでもない。


(魔道具だにゃ。)

(魔道具?)

(付けた者の微量な魔力を使用して、張り付く様だにゃ)

(ふぅん、良く出来てるね)


ハルトはキュウの背中に従魔の証を貼り付けた。


「後は『蠱惑の洞窟』に潜りたいんだけど、今日これから直ぐに潜れますか?」


「え? ダンジョンは、Dランク以上にならないと入れませんよ、一定の実力が無いと危ないので、初心者は入れません」


「えええぇ。どうすればDランクに早く上がれるますかね?」


「うーん、依頼を沢山こなす事ですかねー。」


「はぁ、ダンジョンに潜るために冒険者になったのになぁ」

つい独り言を言うハルト。


「あ!買取もして欲しいって言ってましたよね?」

話を逸らそうとするクスカ。


「はい。お願いします。」


「モノは何でしょう?」


「うーん、色々ありますけど」


「見せて貰っても良いですか?」


「ここに出すんですか?」


「はい。カウンターの上にどうぞ」

ハルトが荷物を持っていないので、小さい物だと思ってるクスカ。


良いのかなぁ? と思いながら、今まで狩ってきたモンスターの素材を、ゲイ・ボルグから順次出して、カウンターに積み上げていく。


「ちょ、ちょ、ちょと待って下さい。もう、置けませんよ。まだあるのですか? 後どのくらいあるのですか?」


「は、はぁ。後10倍ぐらいあるのかな?」

小声で話すハルト。


「じゅ、じゅう、十倍!!! どこにそんなにぃ──」

思わず大声を出すクスカ。


クスカの口を押さえるハルト。


「ちょっと静かにしてください。周りの人がみんなこっちを見てますよ」


「あ! すいません。」

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