第153話 プロポーズ

 母親の名前は、『岬 麗美レミ』だ。



 だからロリータの本名が、【神崎 麗美レミ】だと聞いて複雑な気分になったのだ。 



 しくも、母親と同じ名前の『麗美レミ』。



『ジッ、ジジィ~……ッ』

 近くの木に止まっていたミンミンセミが逃げていった。



 もし僕とロリータが結ばれれば、戸籍上、ロリータは、『岬 麗美レミ』としるされることになるだろう。

 


 


 ひとことでは言い現せない複雑な心境だ。



「ロリータ……」

 僕は立ち上がり彼女を見つめた。


「ン……、何、お兄ちゃん……❓❓」

 少し怪訝いぶかしげな顔で僕を見た。


 僕が真剣な表情をしているからだろう。



「いつの日か……

 ロリータが大人になったらで良いから……

 僕と結婚してくれないか」

 思いきって僕は告白した。



「えェ……😲💦💦」ロリータも驚きを隠せない。



「いつか、僕と……」

 ガラにもなく真剣な顔で手を差しのべて、プロポーズをした。


 当然だが初めての経験だ。


 差しのべた手先が微妙に震えている。


 かすかに全身が戦慄わななく。

 心臓がドキドキと早鐘のように胸を叩いた。

 



「……😲💦💦💦」

 美少女は大きな瞳をさらに大きくして僕を見つめた。



「……😳💦💦💦」

 重たい沈黙が二人の間を支配した。

 心拍数が急上昇していた。



 セミの声だけが、ヤケに耳をわずらわせた。



「ン…、イヤよ……😒✨✨」

 不意に、ロリータは絞り出すような声をあげ、首を横に振って拒否した。




「え……😲💦💦💦」なんだッてェ……。

 ウソだろう……。



 プロポーズを拒否された。






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