第77話 セクシー女王様《クイーン》

「ア、アリスゥ…さん……😓💦💦💦」

 どうして突然、セクシー女王様クイーンの如月アリスが家に来るのだろう。



 そう言えば、アリスが『童貞ボーイ』の家を訪ねる【筆下ろし】シリーズがあったが、まさか、このまま僕の屋敷で、いきなりAVの撮影でも始める気なのか。


 それならひとりで来るはずはない。

 他にも撮影スタッフを引き連れて来たのだろうか。

 辺りの様子をうかがった。



 その時、香水なのか。

 眩暈がするほど甘美で蠱惑こわく的な匂いが僕の鼻孔へ漂ってきた。


 


 如月アリス。



 いちいち述べるまでもなく二十一世紀、もっとも有名なセクシー女優だ。



 アイドル顔負けの美貌もさることながら、目を見張るほどの巨乳で世の童貞チェリーボーイを楽しませてくれる。

 


 まさに、『右手の恋人』と呼ぶに相応ふさわしい【伝説のセクシークイーン】だ。



 昨年、惜しまれつつ引退したが、僕を含め多くのユーザーが彼女の復帰を願っていた。



 あやしい眼差まなざしを向け、アリスは眩しいほどの金髪を手で掻き上げた。



「ねぇ……、パパはァ~❓❓」

 アリスは、遠慮なくグルッと屋敷内を見回した。



「えェ…… パパッてェ……」

 誰のことだろう。



 僕の父親なら再婚し、都心のマンションに美人女子大学生と住んでいる。

 まだ新婚、間もない。



 もしかしたら、アリスは【父親の愛人】なのだろうか。




「あ、あのォ~…… 父親ちちでしたら東京のマンション方だと思いますけど……」

 美人女子大学生と結婚したばかりだと言うのに、お盛んな事だ。



 万が一、父親が帰って来るなら連絡を寄越すに違いない。



「ふゥ~ン…… ホラよ。これを運べよ❗」

 無造作に、アリスは僕へキャリーバッグを寄越した。



「えェ……、あ、ハイ……😅💦💦」

 パブロフの犬みたいに条件反射で彼女の言うことに従った。



「お邪魔するわねぇ……❗❗」

 おもむろに彼女は屋敷内へ入ってきた。



「え、はァ~……😅💦💦」

 僕は、彼女の後ろからキャリーバッグを持って着いていった。



「だ……、誰ェ……❓❓」

 ロリータが僕の後ろへ隠れるように訊いた。



「うン…… 彼女は…… あ、そうだ❗❗」

 その時、やっと祖父との電話の一件くだりを思い出した。







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