第61話 ブルーの歯ブラシ

 まだ数本、あのときの歯ブラシが残っているだろう。


「あった。あったよォ~ ほら、コレ!!」

 引き出しの奥の方から青い柄の歯ブラシを見つけた。



「ンゥ……😓💦💦」

 ブルーの歯ブラシを見たがロリータは、お気に召さない様子だ。

 憮然とした表情を浮かべた。



「ほら、新品だから、これで歯を磨けよ」

 ブルーの歯ブラシを手渡そうとした。



ァ~ー❗❗ そんな青色ブルーの歯ブラシなんてェ……」

 『フンッ』と、そっぽを向いてしまった。



「え、いやいや、そんな…… 歯ブラシの色なんか関係ないだろ。新品なんだから。

 青でも赤でも黄色でも……」



なのォ~ー❗❗ ロリちゃんは、ピンクの歯ブラシじゃないと磨けないの❗❗」



「そんなァ~…… ワガママ言うなよ。

 ブルーでもピンクでも歯を磨く効果は同じなんだから……」



ァ~、お兄ちゃんがブルーの使いなよォ~ー❗❗」


「僕がッてェ…… 僕の歯ブラシは、ホラ!

 このホワイトとブルーのストライプ柄だよ」

 たいして効果に差はないはずだ。



ァなのォ~…❗ ロリちゃんは、ピンクの歯ブラシが良いのォ~ーー❗❗」




「あのねぇ…… 頼むよ。今日のトコはこのブルーの歯ブラシで勘弁してくれッてェ」



「お兄ちゃんがブルーで、ロリちゃんは、ピンクなの❗❗

 女子はピンクッて、決まってるの❗❗」

 どうしても譲ってくれない。



「うん、わかったよ。今度、どっかのコンビニかスーパーへ買いに行った時、ロリータ用にピンクの歯ブラシを買うから……

 今日のところは、ブルーの歯ブラシで我慢してくれよ」

 まったく泣くロリータと地頭じとうにはかなわない。



「ン……😔💦💦 わかったわ……」

 ようやくロリータも渋々、納得してくれたようだ。


 




∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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