第22話 東少女

「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。

「お友達になろうよ! アハッ!」

 姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓の物語。


「あまりの感動巨編で、恵比寿が前中後の三話になってしまった。平等にやらないと他の〇〇少女から苦情が来るぞ。」

 真理亜はお友達を平等に扱うことをポリシーにしている。

「すいません。レジ、お願いします。」

「はい! ただいま!」

 そして現在コンビニでアルバイト中。

「お待たせしました。アイスコーヒー100円です。」

「ほれ、拾えよ。」

 お客様は100円を床に投げ捨てた。

「ありがとうございました。」

 笑顔で客にお礼を言う真理亜。

「コンビニ店員なんてやりたくねえな! キャハッハッハー!」

 真理亜をバカにしてお店を出ていくお客様。

「超能力少女! 真理亜の名において命じる! サイコキネシス!」

 なんとコンビニ店員さんはサイキック少女だったのです。

「おはよう! 元気に働いているか!」

「ウリアちゃん! おはよう!」

 コンビニオーナー少女のウリア。真理亜と同い歳の同級生である。ウリアの両親はコンビニの過酷労働で過労死している。コンビニオーナーを相続したのだった。

「そこで交通事故があったみたいなんだけど、なんか知ってる?」

「ええー!? 交通事故!? 私は何も知りませんよ! 交通事故ですか! 怖いですね!」

 もちろん犯人は真理亜である。サイコキネシスで車を動かし100円投げ捨てお客をひき殺そうとしたのである。

「この世の中は因果応報なのだ! アハッ!」

 他人に悪いことをしたら、自分に悪いことが帰って来るのだ。

「お疲れさまでした。」

 こうして真理亜のアルバイト三部作は終わるのだった。

「ああ~疲れた。家に帰って寝るとするか。〇〇少女ワールドって、こんなお話だったかな?」

 〇〇少女ワールドは感動のお友達超大作である。

「確か私の夢は天下布武だったような? う~ん。ダメだ。疲れて思考回路がゼロだ。これでは本当のおバカになってしまう。早く休もう。」

 おバカキャラだけど、本当のおバカではない真理亜であった。

「チャンス! 私の情報が正しければ、渋谷区渋谷は恵比寿に侵攻中! ということは渋谷区渋谷は空っぽなのだ!」

 渋谷区東の比嘉死子(ヒガ・シコ)(名前の漢字は変更するかもしれない。)は広尾攻めをやめて、反転して渋谷区渋谷を攻めにきたのだ。

「弱小国を手に入れて領土を拡大しても、本国さえ落としてしまえば、渋谷区渋谷の領土は全て私のものだ! 正に漁夫の利! ワッハッハー!」

 比嘉死子は笑いが止まらない。

「ピーンポン。どなたかいらっしゃいますか?」

 比嘉死子は渋谷区渋谷の本拠地の玄関のボタンを押す。

「はい。どちら様ですか?」

 妹の楓が出てきた。

「カワイイ。」

 これが楓を見た比嘉死子の第一印象だった。

「お嬢ちゃん、お父さんとお母さんはいるかな?」

「いません。」

「お嬢ちゃんは一人でお留守番をしているのかな?」

「ううん。パンダちゃんと一緒。」

「パンダちゃん? ああ~、パンダのぬいぐるみか。」

 キラーン! っと怪しく笑う比嘉死子。

「思った通りだ! 今、渋谷区渋谷には、こんな小さいお留守番の女の子しかいない! 本拠地を制圧するなら今がチャンスだ! 好機到来!」

 野望に燃える比嘉死子。

「お嬢ちゃん! 勝手にお邪魔するよ!」

「ああ!? ダメ!?」

 比嘉死子が土足でズケズケと入っていく。

「これで渋谷区渋谷の領土は私のものだ! カッカッカー!」

 自分の勝利を確信した比嘉死子。

「あら?」

 しかし、中には昼寝から目が覚めたアリアがくつろいでいた。

「どちら様?」

「フッ、子供の他に大人もいたのか。だが、まあ、いい。私の名前は比嘉死子! 渋谷区東の総大将だ!」

「それで?」

「それで?」

 何も気にしないアリアに驚く比嘉死子。

「パンダちゃん! その人! 不法侵入よ!」

「そうなの。」

「パンダ? ワッハッハー! おまえ、名前はパンダか? 弱そうな名前だな! 悔しかったら攻撃してみろ? 笹でもやろうか? ワッハッハー!」

 パンダと聞いてアリアをバカにする比嘉死子。

「なんか、ムカつく。殺す。」

 アリアは瞬時に魔法力を高める。

「なんだ!? これは!? 何者だ!? おまえは!?」

「ただの魔法少女だ。」

「魔法少女!?」

「魔法少女アリアの名において命じる! 地獄の火炎! ヘル・ファイアがあるなら、天国の火炎! エンジェル・ファイア!」 

 名前は反対語であっても、炎で焼き尽くすということは変わらない。

「やめいー!」

 そこにアルバイトを終えて疲れた真理亜が帰ってきた。

「私の家を火事にする気か!?」

「うん。」

「まだ住宅ローンも残っているんだぞ!? やめいー!」

「チッ。」

 笑顔で素直に答えるアリア。

「おまえ! 私とお友達になろう!」

「お友達!? なんで敵の私とおまえがお友達にならないといけないんだ!?」

「あれを見ろ!」

 真理亜は天国の火炎を持っている魔法少女を指さす。

「ギャア!?」

「好きな方を選べ。私とお友達になるか、我が永遠のライバルに死ぬまで焼かれるか。」

「お友達になります! お友達にならせてください!」

「よし、いいだろう。今日から、あなたもお友達だ。アハッ!」

 こうして渋谷区東は真理亜に投降したのであった。

「なんじゃこりゃ!?」

 思わずツッコミを入れる楓。

「これでいいのだ。アハッ!」

 後は渋谷区の南は広尾だけになった。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る