第10話 敵のお友達少女

「もうすぐチュートリアルも終わり! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 妹の楓、新しいキャッチフレーズ試行錯誤中。

「天下布武じゃ! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 おまけ。真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 仲良し姉妹の物語である。


「出陣じゃ! でやえ! でやえ! 天下布武じゃ! アハッ!」

 今度こそは他国に攻め込むと息巻く真理亜。

「ちょっと待った。」

 妹に止められる姉。

「なぜ止める!? 我が妹よ!?」

「敵のお友達についても考えておく必要があるんじゃない?」

「うん。そうだね。アハッ!」

 楓に歯向かうのを諦めて素直になった真理亜。

「キャラクター名を創作できないと、ここまで死ぬ物狂いで進めてきた物語が死んでしまう!?」

「ということで、登場する時ではなく、話を進める前に試行錯誤しましょう。」

 再び渋谷区の地図を見る真理亜たち。

「まず恵比寿に子を足して、恵比寿子と書いて、エビ・トシコ。」

「次に恵比寿南は恵比寿南子。エビス・ミナミ。」

「恵比寿西。恵比寿西子。エビス・ニシコ?」

 最南端の恵比寿方面から考えることにした。

「恵比寿? どうしよう?」

 これから毎回お友達の名前決めに困ることを実感する事態になるのであった。

「普通は恵比寿三姉妹でしょ。」

「名字は恵比でエビちゃんだね。」

「トシコ、ミナミコ、ニシコの三姉妹?」

「なんか合わない。」

「ニシコをサイコに変えよう。」

「恵比寿子、恵比南、恵比西でいいや。考えすぎても進まない。アハッ!」

 十分、恵比寿だけで各ペースは急ブレーキだ。

「三姉妹でケンカでもして分裂したとか、権力争いで戦争しているとかでいいんでしょうね。」

「次に広尾。子を足して広尾子。ヒロ、オコ。」

「東。子を足して、東子。アズ、マコ。」

「代官山町。代官山子。ダイカン、ヤマコ。」

「猿楽町子。サルラク・マチコ。」

「鶯谷町子。ウグイスダニ・マチコ。」

「桜丘町子。」

「町子さん大人気だな!?」

 確かに町子は多かった。

「南平台子。」

「道玄坂子。」

「円山町子。」

「神泉子。」

「宇田川子。」

「神南子。」

「松濤子。」

「神山町子。」

「富ヶ谷子。トミ・ガヤコ。」

「上原子。」

「大山町子。」

「西原子。」

「元代々木町子。」

「笹塚子。」

「幡ヶ谷子。ガヤコ2人目。」

「本町子。マチコ、何人目か分かりません。」

「初台子。」

「代々木子。」

「代々木神園町子。」

「千駄ヶ谷子。ガヤコ3人目。」

「神宮前子。」

 これで渋谷区の前住所でキャラクター名が完成した。

「はあ・・・・・・疲れた。」

「よくやった。さすが我が妹よ。ゆっくり休め。」

「お姉ちゃんも何かやってよね。」

「アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「こうなったら腹を掻っ捌いて切腹するしかない!」

 久しぶりの死に装束に着替える真理亜。

「住所って渋谷区だけでも、たくさんあるんだね。」

「私も初めて知りました。」

 真理亜を無視するアリアと渋谷子。

「こらー!? おまえたち!? 人が死ぬかもしれないんだぞ!? 無視するな!?」

「え? どうせ真理亜ちゃん死なないじゃん。」

「アハッ!」

 永遠のライバルのアリアは真理亜のことをよく分かっていた。これが本当のマブダチだ。

「これだけ創作に脳みそを使うとさすがに疲れたわ。今度からキャラクターも出てくる者だけにしよう。これだけ数をこなしたから何とかなるだろう。」

 渋谷区以外は登場する者以外は、もっとシンクビックに考えよう。

「お姉ちゃん、これで次回から他国に攻め込めるわよ。」

「本当!? いいの!? やったー! モーレツ! アハッ!」

 初陣の許しが出て喜ぶ真理亜。

「それにしても、これで登場キャラクター数は足りるけど、各キャラにSやAからDくらいまでのランクを付けるんだろう。大変だな。」

「そうね。全施設の役割も決まってないもんね。」

「どうなるんだろう? 〇〇少女ワールド?」

「渋谷区の代表になっている頃には物語の形が出来上がっているんじゃないの。」

 行き当たりばったりが〇〇少女ワールドだ! アハッ!

 つづく。

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