第3話 思い出した少女
「お友達を増やして天下布武じゃ! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓の物語である。
「できたわよ! 渋谷米!」
どこかの渋谷の土地に田んぼができ水田になり黄金の稲を生やした。真理亜は田んぼ少女を頑張ったかに見えた。
「豊作! 豊作! 嬉しいな! アハッ!」
「真理亜!? おまえが本当にやったのか!?」
自分の娘は田んぼを投げ出すと思っていた父の慎太郎は予想外の出来事に驚いた。
「やる訳ないでしょ。お漏らし少女のお姉ちゃんが。」
「え?」
冷静な妹の楓。
「超能力を使ったのよね。さすがは私の娘だわ。」
母のひばりは真理亜のサイキック能力の高さを喜んだ。
「その通り! 私は自分がタイキック少女だということを思い出したのです!」
「サイキック少女よ! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」
「アハッ!」
お約束の展開。
「私は試練を乗り越えたのだ!」
「前向きだけでクエストを乗り越えられるのがお姉ちゃんの怖い所よ。」
いつも明るく元気に前向きな真理亜。
「よし! このお米を売って、軍資金を手に入れるぞ! アハッ!」
真理亜は農協にお米を買い取ってくれるように商談に行く。
「ガーン?! 断られた!?」
農協の会員ではないのでお米は買い取ってもらえなかった。お米を販売する販路の開拓に失敗して落ち込む真理亜。
「こうなったら切腹するしかない! 死んでお詫びいたします!」
ネガティブな時は切腹にしよう。アハッ!
「あの時、クラウドファンディングで集めた一億円で土地を買って田んぼにせず、そのお金で兵士を雇っていれば良かった。無念。」
人生の選択を誤ったことを後悔する真理亜。
「死ぬな! 真理亜!」
「お父さん!? 止めてくれるな!? 武士の情けである!?」
「メルカリがあるじゃないか!」
「メルカリ?」
個人間の中古品売買アプリである。
「まず真理亜の育てた貴重な渋谷米を出品。」
「わあ!? スゴイ!? バーコードを読み取るだけでいいのね!」
誰でも簡単で分かりやすいらしい。
「コンビニに行って、お願いすれば完了だ。」
「便利ね! コンビニだけに! アハッ!」
こうして廃棄寸前の渋谷米は世の中に出ることになった。
「う、売れた! アハッ!」
ガバガバと次々と渋谷産のお米は売れた。
「完売だ! アハッ!」
渋谷米は珍しいというレア感から5分ほどで全て売り切れた。
「5億! アハッ!」
所持金ゼロの真理亜は、渋谷米を売って5億円を手に入れた。
「アハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハ!」
「笑いすぎると顎が外れるぞ。」
笑いが止まらない真理亜。
「さあ、そのお金で兵士を雇うんだ! 天下布武も目の前だ!」
「分かったわ! このお金で・・・・・・農家の人を雇うわ!」
「ええー!?」
父の慎太郎は娘の決断に絶句した。
「渋谷産のお米でこんなに儲かるんだったら、渋谷産のハチミツとか、渋谷産のワイン、渋谷産のチーズ、渋谷産の牛とか、渋谷産のマグロを生産すれば、もっと儲かるんじゃないかな~って。アハッ!」
「さすが私の娘ね。」
母のひばりは娘の叡智は自分譲りだと感心する。
「農家の皆さん! お願いします!」
「おお!」
真理亜の法人化した株式会社農林水産少女ワールドは1年目から異例の20億の利益を叩きだした。
「これも農家の皆様のおかげです。アハッ!」
もちろん農家や水産業の方々への感謝の気持ちは忘れてはいない。
「この調子で土地を買いあさって、都心にキャベツ畑を作ってやる! 邪魔な建物は立ち退き料と株の買い占めで子会社にしてどけてやる! アハッ!」
半分バブル時の地上げ屋の様な真理亜。
「〇〇少女ワールド・マスク!」
「〇〇少女ワールド・テレビ!」
「〇〇少女ワールド・スマホ!」
「〇〇少女ワールド・バスツアー!」
「〇〇少女ワールド・英会話!」
色々なモノに手を出す真理亜。
「天下布武じゃ! 商売で天下布武を達成したぞ! アハッ!」
これが正しい会社の経営の仕方である。
「経営者に愛と勇気! それと切腹する覚悟があるかどうかです! アハッ!」
のちの経済新聞のインタビューで語る真理亜。
「私にかかればイチコロです。アハッ!」
それもそのはず。真理亜は契約の際に超能力を使い、相手に膨大な金額の契約にハンコを押させたのだから。
「物語が三話で終わってしまった。」
「ええー!? それは困るよ!?」
「次回は真面目に兵士を雇おうか。」
「うん。」
脱線から修正する素直な真理亜であった。
つづく。
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