第2話 内政少女

「お友達を増やして天下布武じゃ! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓の物語である。


「真理亜。」

 真理亜は父の慎太郎に声をかけられる。

「なに? お父さん? べ、別にお父さんの財布から一万円を抜いたのは私じゃないわよ!?」

「一万円が無かったのはおまえの仕業か!?」

「私は無実だ!? 濡れ衣だ!? こんなことが許されていいのか!? 闇裁判だ!? 魔女狩りだ!?」

 必死に自己弁護する真理亜。

「問答無用! おまえのような悪い子は・・・・・・。」

「抜いたのは私ですよ。」

 そこに母のひばりが現れる。

「え?」

「今月のお小遣いを使い切ったはずのお父さんの財布にお金がある。怪しいので私が没収しましたよ。」

「そ、そんな!?」

 犯人は母のひばりであった。

「説明してもらいましょうか? どうして財布に一万円が入っていたのかを?」

「ギクッ!? そ、そ、それは・・・・・・。」

 追い詰められる真犯人の父の慎太郎。

「真理亜! お父さんがコーヒーショップで天下布武の仕方を教えてやろう!」

「ケーキとドリンクバーも付けてくれるなら、お母さんから逃げるの手伝ってあげるけど?」

「参りました。ファミレスにしよう。」

「勝った! アハッ!」

 お茶一杯から、ドリンク飲み放題を獲得した真理亜。

「行ってきます!」

「こら! 逃げるな!」

「アハッ!」

 真理亜と父の慎太郎は逃げ去った。

「クソッ! 逃げられた!」

 悔しがる母のひばり。

「あれ? 楓ちゃん、あなたはお父さんたちと一緒にファミレスに行かないの?」

「いい。お姉ちゃんの布団にドライヤーを当てないといけないから。乾くといいけどね。」

 姉のお漏らし布団に一生懸命にドライヤをーあてる妹の楓。

「本当に良く出来た我が娘だわ。」

 小学一年生の我が娘に感動する母であった。


「いいか、真理亜。天下布武を達成するためには、まず自国の国力を充実させなければいけない。」

「ちょっと待って! もう一杯コーラを注いでこよう。」

「真理亜。おまえ、それで何杯目だ?」

「19杯目ですが、それが、なにか?」

「飲み過ぎだ。お腹が痛くなっても知らないからな。」

「大好きなドリンクバーで死ねるなら本望よ! 我が人生に一片の悔いなし!」

「おまえは世紀末覇者か?」

「アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「まずは田んぼを耕してお米を収穫する。そして、お米を売ってお金を手に入れる。お金で人を雇って兵士にする。兵士を訓練して士気が高まったら、隣国に戦争をしかけて、領土を拡大。そして、天下統一! 天下布武じゃ!」

 ちなみに天下布武とは、武力で天下を統一するだったり、徳で天下を統一だったり所説あるらしい。

「難し過ぎてよく分からないけど、天下布武だ!」

 おバカキャラの真理亜に理解はない。ただあるのはノリだけである。

「まずは田んぼを耕すぞ!」

 真理亜は田んぼを耕すことにした。

「ゲッ!? 渋谷に田んぼがない!?」

 どうやらファミレスがある時点で、この物語は現代ファンタジーらしい。渋谷に余っている土地はなかった。

「公園を耕して田んぼにしたら怒られるかな?」

「はい。怒られます。」

「アハッ!」

 最初っからつまずく真理亜。

「貧乏な私にどないせいちゅうんじゃい!? 夢半ばで切腹しろというのか!?」

「真理亜、こういう時はクラウドファンディングだ!」

「クラウドなんたら? FF7の主人公!?」

「違うー!? お金を集める手段だ!」

 父の慎太郎はネットで手続きをする。

「渋谷米を作るために土地を買いたいのでお金を援助してください。お礼は渋谷米をお分けしますっと。」

「ないない。そんなものでお金が集まる訳ないでしょ。」

「それはどうかな。」 

 余裕の父の慎太郎。

「1億円!?」

「見たか。これが今時の実力だ。」

 基本的に管理している会社が自費で資金を出して、クラウドファンディングならお金が集まりますよ、支援してくれる人はいますよと自作自演で成功を演出していることが多いらしい。ネットの個人の中古品売買も似たような感じらしい。

「ははー! 恐れ入りました!」

 パソコンに頭を下げる真理亜。

「ということで、真理亜。田んぼ少女を頑張れよ。」

「え? お父さんがやるんじゃないの?」

「なんで? 天下布武をするのは、おまえだろ。じゃあな。」

「グサッ!」

 娘は父親に見捨てられた。

「て、天下布武なんてやめようかな。夢は夢だもの。アハッ!」

 弱気になる真理亜であった。

 つづく。

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