きっと最後の恋

ももとみかん

第1話

1



笑える。


何だろ?

どこが良くて5年も付き合って来たんだろ?

ラジオから聴こえる彼の笑い声を聞きながら、私は自問自答していた。

2週間前に別れたらしい彼は、あまり売れないバンドでドラムを叩いている。

そして、私史上最悪な男であった。


そうじゃない事を祈っていたけど、確信してしまった。


最悪だ。


どこから話せば良いだろう?

どこから聞きたいと思うのかな。


馴れ初め?


じゃ、聞いてくれる?


彼と初めて会ったのは、友達のミュージシャンとのツーマンライブだった。

あまり大きくないライブハウスで、彼はドラムの代わりにカホンを叩いていた。


ほぼ真正面にいた私は、自然と彼を凝視する形になっていた。


はっきり言って、タイプではなかった。

大分歳下だし、チャラい感じがして、でも何だか分からないが、彼の何かが少し面白くて、私は

「割とタイプです」

と少しだけ嘘を言った。


その時の彼が何と答えて

私が何と言ったのかは、まるで覚えていないんだけど。


多分、お互い、何かに惹かれて私達はその時メアドの交換をした。


そして2週間後に、彼からライブのお誘いのメールが届いた。


そのライブには行かれなかったのだか、何度かメールのやりとりをしてるうちに、私はいつの間にか彼に惹かれていた。

それは、彼も同じだったみたいだ。


彼の名前は、木村元久。

私は、佐々木美紀。

その後1年ちょっとして付き合う様になった私は、彼を「もとさん」と呼び、彼は私を「みき」と呼ぶ様になった。



そして、この話はそんな私のラブストーリーである。

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