第29話

私はテーブルに頭が付きそうな位、頭を下げて謝った。


「お前、あれは襲われても文句言えないぞ。

大人なんだから、もうちょっと飲み方を

考えろ。」


部長は呆れ顔だった。


「本当に申し訳ありません。

でも、私は田中君といる時しか飲まないので、

大丈夫です。」


「ほう、田中になら襲われてもいいと?」


「っ!!

違います。

田中君は、絶対そういう事はしないので、

大丈夫なんです。」


「なんで?」


「へ?」


「なんで田中はお前を襲わないと思ってる?」


「同期で、いい友人ですから。」


「お前、バカ?」


「は?」


「田中は、お前を女として見てるよ。

あいつがお前に手を出さないのは、体だけが

欲しいわけじゃないからだ。

お前の心がどうやっても手に入らないと

分かったら、体だけでも欲しいと思った瞬間に

襲ってくるぞ。」

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