第28話

「いえ、特には…」


部長は、コース料理とノンアルコールのワインを注文した。


「さて…

先に瀬名の話から聞いてやろうかな。」


部長はにやっと笑った。


「俺に聞きたい事があるんじゃないのか?」


私は、意を決して質問した。


「単刀直入に伺います。

月曜日、何があったんでしょうか?」


「くくっ

お前は車に乗るなり、ぐぅぐぅ寝たんだよ。

家に着いても、全く起きない。

仕方ないから、抱き上げて部屋まで連れて

行き、鞄から勝手に鍵を出して開けて入った。

玄関に捨てて帰るのも可哀想だと思い、

ベッドまで運んだ。

ところが、そこで目覚めたお前は俺のシャツを

掴んで離さず、『帰るな、一緒に飲め!』と

絡んだ。

酔っ払いの相手をしたくない俺は、

シャツだけ脱いで、鍵をポストに入れて、

そのまま帰った。

空蝉だな。

他に何か質問は?」


「!!!

大変ご迷惑をおかけしました。

申し訳ございません。」

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