第14話 悪魔と廃墟の館下見ツアー
ルーカスと私は恐ろしい殺人事件のあった今は廃墟の館を訪れた。
やっぱり事故物件怖っ!夜だからかしら?異様な雰囲気!心霊スポットでもおかしくないし何かいそうで怖い!
「所々ボロイけど少し手入れしたら大丈夫かも…」
とルーカスがスタスタ歩いて確認しようとするので
「待ってよルーカス!こんなとこに主人の私を1人にしないでっ!」
と言うとルーカスは
「主怖いの?確かにちょっと妙な気配あるね。ゴーストかも」
ひっ!やっぱりいるのね!?
「こ、ここ怖くなんかないわよ!私の前世で最恐なのは【さD子】とか思いっきり脅かしに来る奴だから!西洋のお化けはいろいろと幻覚見せて怖がらせるタイプよね?ふふ…」
と謎の持論で論破しようと頑張る!
「遊園地のお化け屋敷だと思えばいいのよ!」
と居直った私だが…数秒後にはしっかりルーカスの後ろの服をガッチリ掴み震えていた。
パキン
と謎の怪音がして
「ひっ!何の音?」
と聞くとルーカスは首を傾げて
「人の気配はお嬢様だけだしね。何かなー?」
と言う。くっ!面白がってるわね!?ルーカス!
しかしそこで2階から
「きゃーーーっ!!!」
という女性の悲鳴が聞こえた!!
「えっ!何?誰か襲われてるの?」
ルーカスは2階を見ると
「あー、殺された奥さんがいる」
と普通に言った!!
「ひいいいい!!何なの!?」
すると2階へ続く階段から血が垂れてきて階段の上から女が
「助けて…」
と血みどろになりながら現れた。
「……」
私は気絶した。
*
「主!!アリーセお嬢様!!しっかり!!」
倒れた主を抱きとめていると階段の上の女ゴーストがケラケラ笑い
「久しぶりの人間を驚かせたわー!スッキリー!」
と生き生きとはしゃぐ。
「やり過ぎ!気絶しちゃったよ!主!」
と睨むと
「ふうーん、君は悪魔?凄い!素敵ね!あたしと今夜どう?」
どうとは何だ?
「だからあ、そのお嬢様の身体に私が入って貴方と楽しい一夜を過ごすのよ」
と言う。
俺は女ゴーストを睨み
「俺の主に手を出そうと言うのか?魔女かネクロマンサーにお前を売り渡してもいいんだぞ」
と言うと女ゴーストは
「あらあら怖いけど…顔の良い子なら許しちゃうわ」
と言う。何だこのゴースト。おかしい。
「とにかく主に手を出すな!許さないぞ!」
と俺は冥界の門を出現させ地獄の鎖を呼び寄せ、
【捕縛しろ!】
と叫び、鎖がジャラリと女ゴーストを締め上げた。すると女ゴーストは
「きゃあ!!なんて激しい縛りプレイ!ゾクゾクしちゃうわ!」
と何か気持ち悪いこと言ってる!
とりあえずそのままで俺は主を抱えて変な気配のない部屋に入りパチンと指を鳴らして部屋の掃除をして綺麗に見える術をかける。
俺の上着を脱いでパチンと形を変えて毛布にして、主を上に寝かせる。もう一つ着ていたベストを脱いでこれも枕へと変化させる。
とそこで、女ゴーストとは違う気配を感じて部屋から出ると恐ろしい悪霊…たぶんこの館の主人が現れた。こんなの主が見たらまた気絶もんかも。何とかこいつも出てってもらうか。
「貴様は悪魔か?我館で何をしている?そして我妻に何をした?何の特殊プレイだあれは!」
と先程の冥界の鎖の縛りをしたままだったことを思い出す。
「あのご婦人が俺の主のお嬢様の身体を乗っ取ろうとして俺と楽しもうと言い出したから断って縛ってるだけだよ」
と言うとその旦那は
「な、何いい!?あの女!!またか!しかも若くて端正な顔ならなんでもいいのか!!君悪かったな!妻が悪い!死んでからも浮気ばかりするのだ!もうそのまま冥界に連れてって裁いて欲しい!」
と懇願しだした。
「おじさんはそれでいいの?妻なんでしょ?」
と言うと…
「私はもう…疲れたんだ。生前は政略結婚だったが私なりに妻を愛していた…。でもあの女は!私と年が離れているからと理由をつけいろんな若い男と毎晩毎晩楽しんで!もう嫌気がさして殺してしまい、私も自害した。死んでからも若くて端正な顔の旅人を見つけると村娘の身体に入ってまで楽しんでいた…。私は辛い…そして悔しい!」
と旦那のゴーストは泣いた。
「旦那さんを無視して楽しんでるってこと?楽しむって何してるのかわかんないけど元気だしてよおじさん」
と言うとおじさんは
「あれ?君悪魔のくせに何も知らないのか…君純情だなぁ…」
と呆れて
「君はここに何をしに来たんだ?」
と言うから俺は説明すると
「ふむ…そうか…君も何か大変なんだね…まぁその顔だしなぁ…羨ましいね」
「オットマー執事長はさっさと主の処女奪えって言うんだけど。何なんだろう。学校で勉強聞いて無かったし意味不明。何かの物なの?」
と聞いてみるとおじさんは口を押さえて震えた。
「何てピュアな魂!!君本当に悪魔か!?いいんだもう!君はそのままでいなさい!そのお嬢様を大切にしてあげてくれ!この館も好きに使ってくれ…私は疲れたから妻を連れて冥界の門を潜ってもいいだろうか?」
「いいけど…おじさんは妻と一緒でいいの?」
「何、私は妻を殺した罪があるからね、冥界で裁かれていいんだ。この世に留まることの方が苦痛だよ」
と言うので
「解った…」
と言い、おじさんと縛られた妻のところに行くと妻はおじさんを見てげっという顔をした。
「何よ!この妻殺しの極悪悪霊!私に近寄らないで!あんたなんか愛していないの知ってるでしょ!?」
と叫ぶとおじさんは悲しそうな顔をして
「解っているよ。君が生前から私を好いていないことは。でももういいんだ。冥界に一緒に行こう…」
と悲壮な笑い顔をする。
「嫌よ!私はもっと若くて綺麗な男と…助けてそこの悪魔!!ねぇ、お嬢様の身体を貸して?お嬢様が好きなんでしょ?貴方!お嬢様と楽しくて気持ちいいことできるのよ?」
と言うが俺は首を振った。
「さあ、悪魔さんよろしく頼む!」
と妻を捕まえておじさんは血の涙を流した。
【地獄の鎖よ!冥界に帰れ!】
と叫ぶと鎖は2人をズルズル引きづり門を潜る。
「いやっ!もっと若い男と!!」
「しつこいな!君は!!」
と聞こえ門は閉まり消える。
俺はお嬢様のところに戻り起きるのを待つ。綺麗な銀髪に艶のある唇。この前は軽く皆の前でキスされて驚いたけど…。俺はちょっと指先でアリーセの唇に触れてみたくなり指を伸ばすと
アリーセが目を覚ましたので引っ込めた。
「ルーカス…ここは?」
「俺の術を少しかけて誤魔化してるけどまだあの館だよ?さっきまであの女ゴーストとその旦那がいたけど冥界に連れてったからもういない。旦那さんがここ自由に使っていいよって言ってくれたよ」
と言うと主は…アリーセはようやくほっとして笑顔で
「ルーカスが何とかしてくれたのね!?ありがとう!」
と言うからやっぱりドキリとする。アリーセは…なんて言うか笑顔になると俺はとても抱きしめたくなっちゃう…。ダメダメ…そんなことをしたら…。
と我慢して耐えている。心臓が熱くなり俺は恋をしていると自覚しているけどこの気持ちがアリーセにバレたらだめだ…。アリーセは男が嫌いだし、いくら俺に触れるといってもそんな好意を寄せられてると気付かれたら…あの三人みたいな拒絶反応が出るかもしれない!
主に拒絶されるのは嫌だな…。
「ルーカス…一旦戻りましょう…オットマーももう帰ってるかも」
「判りました…」
「そう言えば貴方上着とベストは?」
とシャツ姿の俺を見て少し赤くなる主。風邪かな?
「主の枕や毛布に変化させていたんだ…」
とパチンと指を鳴らして元に戻すと主が
「まあ…そ、そう言うことだったの…そ、それならいいの!」
?何がいいのかよく判らないけど俺達は邸のお嬢様の部屋に戻ると美人執事長が青い顔をしていた。そしてお嬢様の部屋は強盗でも出たのか?というくらいめちゃくちゃだった!
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