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 帰りがけに姉が、Lは頭がいいと言い、鼻が良いとは言わなかった。

「でもちょっと違う」

「違うの」

「違うというか、一言でまとめると、その一言がカヴァーできないはじっこのものがそぎおとされる、というかあ」

「理屈こねてる」

「まあそうだね」

 姉はうきうきとしていた。ぼくは彼女に関して感想を持たない。ふしぎだ、ふしぎだ、というぼんやりとした思いにうずまきを起こさせていた。なによりもいちばんのふしぎは白いものではあったのだが、そんなことはもうどうでもよい。なにも乗っていないおさらを軽く放り投げる姉。歩幅小さくとくとく歩く頭うずまくぼくとの背後から、夕焼けの効果のなくなった青暗い夜と学校の最後のチャイムの音がそそくさと寄ってきた。「ざわざわしてたね」と、姉はなんのてらいもなく言った。

 姉の髪が風に舞った。

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