舌なめずりをしながらさらに白いものを丸めたものをひばちの上の鉄網に並べ始める。焼いたものを長い箸で取り上げ、皿の縁に並べ始める。ちゃっちゃちゃっちゃと、小気味良いリズムで取り上げる。姉の爪は大ぶりで透明のマニキュアで綺麗だ。白いものを丸めたものを程よい焼きかげんで焼いたものは、姉のしなやかな腕の筋肉を通じて段々に積み上げられていく。数学的な美しさをともなった外形、ピラミッドをなしていった。姉はそれを片手で下の方から支え上げる自分をイメージしているに違いない。そしてそのままご近所に配る。ぼくらの「治療」が外部へ持ち出されてしまうだろう。

 姉は何を考えているのか。時々、考えているふりをして寝ていることをぼくは見知ってはいるが、この時はどうだったのだろうか。

 姉のウェイトレス姿はかわいくてありだ。文化祭でやったそれは、本人のテンションを上げていたっけ。いい気になるのはわかる気がする。ちやほやされるがいいや、と、ぼくは呆れたり、自慢だったりしながら横目で見たものだ。姉のそういう姿は所与としてそこにあって、姉もぼくも強く自覚していた。

 給仕する姉のイメージが将来を駆け巡る。

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