4
舌なめずりをしながらさらに白いものを丸めたものをひばちの上の鉄網に並べ始める。焼いたものを長い箸で取り上げ、皿の縁に並べ始める。ちゃっちゃちゃっちゃと、小気味良いリズムで取り上げる。姉の爪は大ぶりで透明のマニキュアで綺麗だ。白いものを丸めたものを程よい焼きかげんで焼いたものは、姉のしなやかな腕の筋肉を通じて段々に積み上げられていく。数学的な美しさをともなった外形、ピラミッドをなしていった。姉はそれを片手で下の方から支え上げる自分をイメージしているに違いない。そしてそのままご近所に配る。ぼくらの「治療」が外部へ持ち出されてしまうだろう。
姉は何を考えているのか。時々、考えているふりをして寝ていることをぼくは見知ってはいるが、この時はどうだったのだろうか。
姉のウェイトレス姿はかわいくてありだ。文化祭でやったそれは、本人のテンションを上げていたっけ。いい気になるのはわかる気がする。ちやほやされるがいいや、と、ぼくは呆れたり、自慢だったりしながら横目で見たものだ。姉のそういう姿は所与としてそこにあって、姉もぼくも強く自覚していた。
給仕する姉のイメージが将来を駆け巡る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます