諜報部に早くカップルになって欲しい男女がいます。

比企谷こうたろう

第1話 偽装夫婦、誕生。

 妻、シオリ篇

 

 「明日から偽装夫婦になって任務にあたってくれ」

 諜報部リーダーからそう命じられた時、凄く嬉しかった。

 だって好きな人と偽装とは言えど"夫婦"になったもの。嬉しくないはずがないじゃない。

「今日はこれで終わりにして、明日からの生活に備えてくれ」

「「了解」」

 やったわ。彼と仕事を一緒にやってきて、いつか告白しようと思っていたけれど、まさかの展開だわ。これを機に彼を振り向かせてみせるっ!

「シオリ、これからよろしく」

「ええ、こちらこそよろしく」

 お互い挨拶した後、明日からの夫婦生活に備えて帰宅したのだった───。




 夫、ロード篇

 

「明日から偽装夫婦になって任務にあたってくれ」

 諜報部リーダーからそう命じられた時、凄く嬉しかった。

 この仕事を彼女とやってきて今年で早五年。初めて会った時から想いを寄せているのだ。嬉しくないはずがない。

「今日はこれで終わりにして、明日からの生活に備えてくれ」

「「了解」」

 よしっ、これを機に彼女を俺の女にしてみせるっ!

「シオリ、これからよろしく」

「ええ、こちらこそよろしく」

 明日から二人は、生活を共にする───。




 諜報部リーダー、クロード篇

 

「明日から偽装夫婦になって任務にあたってくれ」

 俺は二人にそう命じた。

 だって二人共出会った瞬間一目惚れしてたっぽくて、一緒に仕事をして五年も経つのに何の進展もなし。

 いい加減くっ付けと思って閃いたのがこの任務。

 我ながら妙案だと思い命令したら、他の人はふたりの顔を見てわからないだろうが、俺からしたら一発でわかる。

 ふたりとも口角が少し、ほんの少し上がっているのがわかる。

 そんなに嬉しいなら早くアタックしてくっ付けやって思ったが、それが出来たらふたりとも苦労はしないだろう。

「今日はこれで終わりにして、明日からの生活に備えてくれ」

「「了解」」

 と口を揃えて返事をした後ドアを開けて帰っていった。

「ふうぅ。これならアタックもしやすいだろ・・・」

 イスに深く腰を預けて、ふたりがくっ付くのを祈るばかりだった───。

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