ぐーたら部

二髪ハル

第1話 普通のこと

 ホームルームが終わり川島 哲也てつやは今日も部活動に励んでいた。

「お疲れ様です」

 部室には誰も居なかった。

「お疲れ、さん」

 挨拶と同時に俺のケツをガっと掴んできた。振り返るとスポーツ少年と感じ取れる坊主頭。同学年の矢野 幸助が顔をうっとりとしていた。

「毎回やめろって言ってるだろ。幸助」

「やめろなんてつれないこと言うなよ。もっとしたくなるだろ……」

 息も荒々しくなってきているし。どんどん顔が近くに寄って――。

「寄るな。寄るな」

「いいだろ今なら誰も居ないし」

「やめろって!」

 廊下でぎゃーぎゃー騒いでいると青髪の女の子が立っていた。

「なーにホモってんすかテツ先輩」

「ホモってないって雪」

「別にヤッてもいいすけど、トイレとか処理できる場所にしてくださいよ」

 両方の人差し指でバッテンを作って交互上下に動かしていた。

「やらないし。その手やめて……」

「へーい」

 いきなり失礼なことをいうのは一年の宮下 雪。いつも下ネタを言って俺をからかってくる。

 三人教室に入り哲也と幸助は椅子に座り雪は戸棚を漁っていた。

「先輩たち。いつものでいいすか?」

「ああ良いよ」

「俺も大丈夫だ」

「了解っす」

 雪はインスタントコーヒーを出してそれぞれ俺にはブラック。幸助にはカフェオレを作ってテーブルに置いた。

「それじゃあ俺が冷ましてやろうか? 逆に熱くなるかもしれないが」

「いらんて」

 雪はオレンジジュースとステック菓子を出し鞄からスケッチブックを取り出して悩んでいた。

 雪は絵を描くのが好きで部室ではいつも絵について考えごとをしていた。

「雪。今日も悩んでいるんか?」

「そうなんすよね……。ポーズとかどうしよって思ってるんすけどなかなか決まらなくて……」

「だったら今日も手伝おうか?」

「マジすか! よろしくっす」

 たまに絵の参考になっているため慣れていて俺は席を立ち指定されたポーズをした。

 さっきまでとは雰囲気が違い真剣に描いていて数分間立っていた。

「終わったす」

「おつかれ」

「いやー。先輩のおかげでいい絵になりました。見ますか?」

「いや、大丈夫。雪の絵はその……上手いから」

 雪は顔を膨らませていた。

「上手いってなんすか。相手に見せてこそ上達するとかあるじゃないすか」

「いやー。……」

 雪の絵は上手い。上手いんだが一つ難点がある。

「ほら!」

 見せてきたのは

 口に含んでいたコーヒーが噴水みたく一気にあふれ出していた。

「だからなんで裸なんだよ!」

 雪は逆ギレをしていた。

「いいじゃないすか!」

「全く……」

 肩をツンツンと叩かれ振り向くとポテチを口にくわえた幸助がこっちを見ていた。

「なんだよ……」

「口づけでいいから一緒に食べないか?」

「普通に食うわ!」

 するともう一人女性が入って来た。

「あー疲れた」

「お疲れ様です部長」

 俺の後に二人も挨拶した。

「うん。ありがとう……」

 そのままソファーの方に座り込みピンク色のパンツが丸見えになっていた。

 だらけているのは3年鴨下 可憐。生徒会長でこの部室の部長だ。

「哲也くん。腰揉んで」

「はいはい……」

 席から立って可憐の方に向くと可憐は仰向けになり腰を揉んだ。

「あー効く。効く」

 喜んでもらえてよかった。

「それで今日は大変でしたか?」

「まあね。先生の説明に他の生徒会の今後の活動で大変」

 雪は飲み物とかをテーブルの上に置いた。

「可憐部長。どら焼きとオレンジす」

「ありがとう~。雪ちゃん」

 

こんな風にまったりとしているのが俺達にとっての普通だ。

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