第77話 だまりなさいっ!
「あの。……お久しぶりです、センパイ!」
「ご苦労様。今の私はナミブ
「……その。以降、ナミブではITS、センパイの指揮下に入るよう命ぜられています!」
「こちらも増員の通達は受けてるわ、以降よろしく。……
「え? センパイに褒めてもらえるなんて。ボクは……」
「それはそれとして。自室は割り振ってもらっているわね? ――よろしい。ではさっそくでわるいのだけれど、至急作って欲しい書類がある。良いかしら」
「別に問題は……」
「快くそう言ってもらえるとこちらも助かるわ。――作戦変更に対する届け出書二通、時間をさかのぼって作戦変更の通知書四通、作戦の内容に対する意見書三通、作戦に対する評価書六通と変更後の分が二通、命令変更の為の承諾書六通、戦闘、地上降下、軌道の変更、大気摩擦の低減に関する考察他レポート八通」
「その、センパイ?」
「まだあるからメモしておきなさい、あとでわかんなくなるわよ? 作戦変更に関する稟議書。報告書、通知書、始末書諸々含めて締めて十五通。赤道軌道ステーションの作戦部長とBA大隊長、そしてスペンサー司令と艦長。それに私で五通。それと、もちろん
「はい、いいえ。しかしそれでは睡眠の……」
これは前に聞いたことがある。
上官の返事に否は返せないから、返事はすべてイエス。
単純に、軍隊を扱った映画なんかで偶に有る新兵訓練のときの、
『俺に対してお前らが口にしていいのはイエスだけ、誰に話をしてやがるつもりだ! 軍曹様と話をするときは、言葉の最初と最後にサーを付けろ! わかったか、ブタ野郎どもっ!』
『サー、イエッサ―!』
と言うのは、わりとホントの話でもあるらしい。
さっきの話のサレさんに聞いたら、入隊直後の
もちろん、上官の絶対命令だったら基本的にノーはないのだけれど。
それ以外の場合なら。どうしても納得がいかないときは、はいと答えた後で否定的な意見を言う。
だから正式 (?)な否定の返事は
『はい。いいえ、それは出来ません!』
になるんだそうだけど。
でもナミブ、と言うか新共和防衛軍全体でもそこまで固くは無いよ。
スゴくエライ人に怒られるときくらいかな。なんてみんな言ってた。
こないだも通信長が、
――ノーサー! 命令は
と艦長に返したのを聞いている。
現状、このナミブでローラが抵抗出来ないほどすごくエライ人。
つまり姐さんは普段通りにしか見えないが、すごく怒っていて。
イエス・マム! それ以外のことを口にしたらますます怒りのボルテージがあがる。
付き合いの長いローラはそれに気が付いてる。そういうことなんだろうか。
「だまりなさいっ!! 私はともかく、司令や艦長の仕事まで増やしておいて、まだ口答えする? ちょっと見ない間に偉くなったわね、ローラ。…………
うん、よくわかったなローラ。もの凄く怒ってたよ……。
良く響く姐さんの声がブリッジ中にこだまして、ローラだけでなく司令や艦長も固まる。
最上階の三階だけで無く。ブリッジ中が静まりかえるなか。
ボリュームを落としたけれど、良く通る声がブリッジ中に響く。
「私もそのすべてに目を通し意見書を付けて、司令や艦長のサインをもらったうえで、明日1200までに総隊長に報告する義務があるの。本当なら四時前後には欲しいところを四時間も猶予を付けてあげてるの。本当に状況がわかってる? それとも書類はちゃんと作ってやるからとりあえずサインだけしろ。とでも言うつもり? ルビィズ序列五位のこの私に? ……あなた、何様?」
まだ怒鳴られてた方が良い。
……静かに言われる方が数倍怖いわ、これ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます