愛玩人間飼育目録
星 伊香
ドッペルゲンガー
自分が二人居たらいいなと思った事はないだろうか。
仕事は代わりばんこですればいいし、遊ぶ時間も増える。だから私はペットの顔に合わせて整形する事にした。ペットをフルオーダーするより私が整形する方が安上がりだし、悔しい事にペットの方がずっと顔が良い。
整形の完了と同時に引っ越しをして仕事も変えた。これで私達をオーナーとペットだと知る人間は周りに居ない。バーコードさえ隠してしまえば完全犯罪の出来上がり。完璧な計画だと思った、この時は。
仕事を始めて最初の方は良かった。好きな時だけ会社に行き、それ以外の日は好きに過ごす。でも完璧だった筈の生活は徐々に崩れていった。
会社で「この前教えたでしょ」「どうして昨日出来たことが出来ないの」と言われるようになった。二重生活を送る上での引継ぎ作業は欠かさなかったが、そもそもペットは私より頭も良い。ホムンクルスなのだから、人間の私より優れていて当然だ。
そして今日、ペットが会社で告白されてきた。営業の竹内さん。仕事も出来て優しくて、女性社員たちの憧れの人。
「どうなさいますか?」
同じ顔が私を見る。彼が好きになったのは私とペット、どっちなのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます