第5話④ サブリミナルでハゲモテドン! それは人を救うおまじない?

「ほんまかいな! 」

「西田さんは立ち止まって首を押さえ苦しみはじめた。そして、横でうろたえる渡辺…僕は微笑んだ」

「お兄ちゃん、こわい…」

「さらに苦しめてやろうと、僕は空中に彼女を持ち上げた…すると! 」

「まさか、お兄ちゃん、西田さんを殺したの? 」

「いや、急に腕がつって、彼女を地面に放り投げてしまったんだ」

「はあ?」

「人って重い…ね」

「重いって、超能力、念力で持ち上げたんとちゃうのん? 」

「俺の念力である透明な手は、手の筋肉と連動しているみたいなんだ」

「連動って? 」

「筋肉の力で持ち上げるように、女性を透明な手で持ちあげる…て感じかな。でも、俺って文化系だから手の力、握力が強くないだろう。だから彼女を持ちあげようと無理して、手がつったんだと思う」

「でも、さっきウチを持ち上げたやん」

「あれはアキちゃんが小学生で軽かったからや」

「ああ、そうか」

「でも、あれ以来、鼻をかむ女を見ると殺意に心奪われて、思わず透明な手で首を絞めてしまうんだ」

「うそ! 」

「だから、その年の冬。高校で風邪がはやると、あっちこっちで女子達が鼻をかむものだから…」

「かむものだから? 」

「クラスであろうが、廊下であろうが、鼻をかむ女子は容赦なく、この透明な手で首を絞めていった」

「それで、どうなったん? 」

「女性の首を絞めすぎて…」

「絞めすぎて…」

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