あなたのために

第1話

ここは、深田高校。

今日から俺はこの高校に通うことになる。

県内の高校ではあるが地元からは離れた場所にあるため独り暮らしである。

俺は社会人になって数年たった頃、ある朝目が覚めると中学生に戻っていた。突然のことでかなり驚いた。しかし、心のどこかでやり直したいと思っていた自分にはまたとないチャンスに思えた。

俺は、後悔しないためにやり直しがしたかった…。

俺には彼女がいた。正確には、いるという表現があっているかもしれない。26歳の冴えない社会人の自分には文不相応な位、美人で性格も完璧な人だった。彼女は自分よりもひとつ年上で大学生の頃にバイト先で出会った。

彼女は、常に完璧に思えた。仕事はそつなくこなすし、コミュニケーション能力も、高く人望があった。

そんな彼女には高校の頃に彼氏がいた。その彼氏も、彼女と同様に完璧な人間であったそうだ。しかし、高校の頃に不慮の事故で亡くなってしまった。

そんな話を彼女の友人に聞いた。

その時に俺は思ってしまったのだ。

彼女にふさわしいのは彼だったのではないかと…。