22

「あの、生まれつきなんですか?」


「え?」


「痣です。あ、すみません、言いたくないですよね、気にされてるのに。」


「いや、これは…。」


咲耶姫様が何かを言おうとした時、急にガタガタと襖が震え出し、突然のことにビクッと肩が震えた。二人して揺れる襖の方を見やる。


「地震?」


「いや、違うな。」


ビクビクする私とは反対に、咲耶姫様の声は冷静だ。恐怖に思わず咲耶姫様の袖を掴んだ。

何だろう、今度こそ幽霊とか?

やっぱりここは別の世界とか?


私が考えるより早く突然パーンと勢いよく襖が開き、大きな声が響く。


「元気にしておるか!見舞いだ!」


そこには厳つい男が立っていた。咲耶姫様と似たような装束を纏って右手に何かを持っている。それに何だかとんでもなく熱いオーラを漂わせながら仁王立ちだ。

もしかしてこの方も神様なのだろうか。


「誰だ?俺の咲耶姫と何をしている?」


「ひっっっ!」


ギロリと睨むその目力の強さに私は小さく悲鳴を上げ、尚更身を小さくした。

怖い。怖すぎる。

咲耶姫様は私を後ろ手に庇うように立ち上がり、厳つい男の前に立ちはだかる。

オーラだけなら咲耶姫様も負けていない。


「帰ってくれ。今日は客人が来ているんだ。」


「なんだと!俺より客を取るのか!」


「そうだ!女子会をしているのだ。」


「じょしかい?なんだそれは?」


「大事なことなのだ、邪魔するな。」


ピシャッ。

食いつかんばかりの男に咲耶姫様は冷たく言い放つと、彼を押し出しそのまま襖を閉めた。


急に静かになる部屋。

空気がゆっくりと元に戻っていく。

汗がたらりと落ちた。

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