星降る夜に神様とまさかの女子会です

あさの紅茶

綺麗な星空の下、迷子です

01

星が綺麗な夜だった。

雲もなく澄んだ夜空。

数えきれないほどのたくさんの星たちが、キラキラと煌めいている。


こんなにたくさんの星を見たのは初めてかもしれない。明かりがない夜空はこんなにも幻想的で素敵なものだと、初めて知った。


キラッと瞬いて星がひとつ線を描いた。


「流れ星?」


目を凝らしてよく見てみる。

静かな光景が尚更静かになった気がした。


キラッ


また星が瞬く。


「素敵な人と出会えますように!素敵な人と出会えますように!素敵な人と出会えますようにっ!」


急いで胸の前で手を組んで流れ星に向かって早口でそう叫ぶと、とたんにぎゅうぎゅうと胸に込み上げるものがあり、私は思わずその場にしゃがみこんだ。

よくわからない感情は、怒りと悲しみと悔しさが入り交じっていて、気持ちをぐちゃぐちゃにする。


“次”は素敵な人と出会えますように、が正解だ。


自分の願いにツッコミを入れて、すぐさま首を振って否定する。


いや、違う。


望むべき事はそれではない。

今大事なことはそこではないのだ。

今大事なことは……。


「はぁ、どうやって帰ろう。」


夜空を仰いだ呟きは耳をかすめていき、更に自分の胸を苦しめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る