第2話 教科書を貸してくれた


 それではお楽しみください(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾



 -------------------



 席替えをして約2週間経った。この2週間で話した事は何もない。


 ようやく隣の席の女の子の名前が、水島あかりと言うことを名簿で知ったぐらいだった。


 結局この席は教室の角にあるから話せる人は限られるし(元からいないけど)、水島さんとは話さないから、陰キャまっしぐらだ。


 5月の半ばという事でテスト2週間前になった。光蔭高校は名門校なだけあって2週間前になると部活動が全てオフになる。


 俺が所属している所は追々話すとしよう。今は作者のプロットの都合で内緒だ。しっかりしろ作者!


 そして部活動がオフになった事でとうとうあの制度が始動するらしい……


 隣の席の人と勉強を教え合う制度だ。いや、本当なんだよこれって思うけど、実際に結果が出ているから良いんだけどさ……


 コミュ障コンビだとどうにもならんだろ……


 毎日6限が終わった後に、ロングホームルームが追加される。そこで50分間お互いの勉強をみるという事らしい。


 そしてとうとう今からそのロングホームルームになる。


『はーい、みんな静かにしてね?


 今日からテスト2週間前になりました!みんな勉強してきたかな? 高校最初のテストですね!


 なので今日からロングホームルームが追加されています。お隣の人と勉強を教えあってください!


 えっと、入試の時から順位が上がった人には景品が学校から用意されています!その景品は2人とも順位が上がった場合、さらに豪華になります!


 クラス単位でも景品があるみたいなので皆さんちゃんと勉強してくださいね?』


『『『うぉーーー!』』』


『泊ちゃんのために俺勉強やるよ!』『俺1位取るから泊ちゃん付き合って!』『僕泊ちゃんのためだけに頑張るから!』


 もううちのクラスはアホだ……。陰キャだからついていけないだけなのか、それとも俺がまともなのかは知らないけど……。


『はい、わかりました!


 それじゃあ今からロングホームルームを始めますね!


 隣の人と勉強してください!声を出す分には構いませんが、騒いだり遊んだりするのは禁止ですからね?』


 そうして魔のロングホームルームが始まった。


 てか会話をしない限り勉強も教え合う事は出来ないだろう……。


 とりあえず会話のキャッチボールから始めよう……。


『あの、水島さん? 俺、東って言います。勉強頑張りましょうね?』


『あ、はい…。頑張りましょう…。』


 会話がこの2つで終わった……もうメンタルがズタボロだ……コミュ障にはキツイよ……


 でも水島さんと勉強しなきゃダメだからとりあえず頑張ろ……


『あの、何の教科やりますか…?』


『数学Ⅰ…』


『あ、はい。それじゃあ俺もそれやりますね……』


 かなりしんどいな……とりあえず数学Ⅰの教科書出すか……


 あれ?数学Aしか教科書ないな…。そうだ、今日数学の教科書間違えて持ってきてたんだ……。授業はプリントだけだったから大丈夫だったけど。


 やばいな、ここで足を引っ張るとさらに嫌われるかもしれない……と悩んでいると水島から話かけてくれた。


『あの……教科書ないなら一緒に見よ……?』


『良いの……?』


『うん……』


『ありがとう、水島さん!』


 そうして俺は水島さんの教科書を見ながら一緒に勉強した。


 俺はいわゆるギリギリで合格した人なので、応用問題は殆どわからなかった……


『ここの問題……わからないの?』


『え、うん。応用になると厳しくて……』


『ここはね……こうして、この公式に…代入すればほぼ完成……』


『本当だ!ありがとう!』


『気にしないで……』


 何故か水島さんは俺に一から教えてくれた。今まであんなに話さなかったのに……


 それにマスクをしているからあまり見えないけれど、少し頬が赤みを帯びていたような気がした。


 たった1時間で事務的な内容だけだけど、学校で話す人が出来てちょっと嬉しかった俺であった。



 -------------------



 新作ですので1日2話以上投稿していきますので、是非星とフォローのほどよろしくお願いします(●´ω`●)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る