今、苦しい君へ

はなのまつり

今、苦しい君へ

予期せぬ事態に見舞われて、

荒れ乱れるこの時代。


将来への期待や目標を抱いて、

頑張ってきた君たちは今、

不安と焦りで苦しいと思う。


楽しいことを犠牲にして、

寝る間も惜しんで努力して、

やっと有り付けたチャンスが頓挫して、

これからどうなるか分かんない。


つらいよね。

苦しいよね。

不安だよね。

そして、とても怖いよね。

どうしたらいいか、悩むよね。


ごめんなさい。

僕は何もしてあげられない。

ごめんなさい。

君たちを安心させてあげられなくて。


でもね、少しだけ。

少しだけ、身勝手な事を話してもいいかな?

もしよければ、読んで下さい。


僕はリーマンショックの時代、

就活生だった。


ずっと夢だった会社の内定貰えて、

頑張ってきて良かったって思えた。


けれど……


リーマンショックの影響で、

その内定がなくなっちゃったんだ。


とても辛かった。

もう放心状態。


もうすぐ卒業だったのに、

また未内定組に戻っちゃった。


しかも他に受けてた会社さん、

全部断ってたから、

もう一度受けるなんて出来なかった。


頭下げたところで、どこも火の車。

受け入れて貰えなくて、八方塞がり。


いっぱい頑張ってきたのにね。


色々、無くなってしまった。

そんな気分だったよ。


幸いね、学費や定期代稼ぐために、

掛持ちしてたバイト先の

1つに拾ってもらえた。



――アルバイトとして。


でもね、それがまた辛いの何の。

高校生の頃からずっとバイトしてて、

常連客の方とも仲良くて、

良いとこ就職出来たなって、

祝って貰ったりもしてて、


情けなかった。

めちゃめちゃ申し訳なかった。

詰めが甘かったのは確かだし、

仕方ないっちゃ仕方ないけど、

いたたまれなかったよ。


だからって接客業だったから、

笑ってなきゃだし、

今ある事

出来る事に感謝して

全力で頑張った。


朝は荷物の仕分け、

昼は服屋さん、

夜は居酒屋。


当然、就活も一緒にね。

いっぱい受けた。


でも、

その当時の二次新卒って、

本当、毛嫌いされてね。


どこも書類選考で落とされた。


ある所は、社長さんから直接

「二次新卒ってなに?ww」

「うち新卒しかとらないから」

とか電話きたりもしたよ。


荒れたよね。

かなり疲れた。

このままズルズルいくのかな……

なんて考えてた。


そんな時ね、


ある常連さんが

お店にみえた時に

“ちょっと”って呼ばれて


「お前ぇ、うちくるか?」

って言ってくれたんだ。

最初は冗談かと思ったけど

“真面目だ”って言ってくれた。

それも大企業で、

みんな知ってる、超大手。


詳しくは言えないけれど、

枠が空いたらしくて、

応募して、受かって。


それから翌年までバイト頑張って、

やっと就職出来た。


本当に嬉しかった。

曲がらなくて良かったと思った。

こんな僕でも拾い上げてくれた

常連さんには感謝してもしきれない。


とは言え、そこからも大変だった。


だって勉強して来た事と、

まったく違うジャンルなんだもん。


周りは専門科目勉強してきた新卒、

僕は独り、取り残される感じ?

エグかったよね。

だけど、せっかく貰ったご縁。

だから、めちゃ頑張って勉強した。


そしたら何とか成績も残せて、

表彰されたりもして。

とても嬉しかった。


常連さんはお偉いさんだから、

職場では話せなかったけど、


プライベートで呑んだ時、

「よー頑張った!!」って

泣いて祝ってくれた。


パートナーとの結婚も考えてて、

それも報告したら、また喜んで貰えて、

人生ここ絶頂?とか思ったww


そんな時ね、


仕事中に倒れたんだ。


病院運ばれて、色々検査して、

ちょっと面倒くさい病気で、

療養休暇もなくなって、

復帰も難しいってなって、


あれよあれよと、退職になっちゃった。


なんだったんだろう、僕の人生

そう思った。


よくある「俺、帰ったら彼女と結婚するんだ」

とかいうフラグ、

地でしっかり回収したよww


笑えないよね。


そう、笑ってられなかった。


毎日毎日激痛で、

吐くわ、

動けないわ、

トイレもいけないわ、

しかも寝ることさえ出来ない。

生きてるが、正直しんどかった。


情けない。

もう疲れた。

終わりたい。

何度か思った。

そんな時、パートナーに言われたんだ。


「無理しなくていい」

「一緒に頑張ろう?」

「また美味しいご飯作ってよ♪」


――ってさ。

泣いたよね。

こんなに涙出るんだってくらい泣いた。

人生で一番泣いたと思う。


この人と出会えて、本当に良かった。


そこからリハビリ頑張って、

頑張って、

頑張って、


コロナが騒がしくなった頃、

何とか自宅に戻れるようになった。


けれど仕事は戻れる状態じゃなくて、

でも何もしないのは嫌だったから、

今家で出来る事。

横になってても出来る、


文字を書く事を始めた。


上手くいくかなんて分からないし、

経験してきた事とまた畑違いだし、

文才はないし、

不安はあるけど、


今も色々考えながら頑張ってる。


長くなってごめんね。

何が伝えたかったかって言うと――


いくら七転八倒な人生でも、

自分から倒れちゃダメだってこと。


頑張ったら頑張った分だけ、

形は違っても良いことが待ってるってこと。


周りは君のことをいつも気にして、

心配してくれてるってこと。


詭弁かも知れない。


けれど、事実だと思うんだ。


今の世の中、

君たちだけじゃなく、

みんな苦しい人ばかりだと思う。

へんな空気が漂って、

マイナスな感じが充満してる。

けれどそこで終わっちゃいけないんだ。


今君たちには

聡明な知識と、

素敵な才能があって、

輝かしい未来が待ってる。

自分でその行く末を決めないで。

まだまだ人生は分からないから。


確かに、想定外で苦しい事が

待ってるかもしれないけれど、

それ以上に想像も出来ないような

素晴らしい未来をきっと手に出来る。


そう信じるべきなんだ。


人生100年の時代、

まだ80年もあるんだから。


僕でもまだ70年近くもある。

願うルートでは進めなくても、

思わぬルートで繋がってるかもしれない。


やり直しなんていくらでも出来るさ。

またこれから頑張ればいい。

願わぬ結果が出ても、報われなくても、

君を認めてあげられるのは君だけなんだ。

自分で自分に見切りをつけて、

その素晴らしい人生をつまないで。


君たちには笑顔で笑えるような

楽しい日々がきっと待ってる。


僕も頑張る。

だから一緒に頑張ろう。


会えないけれど、

見えないけれど、

きっとどこかにいる君へ。

勝手な言葉ばかりでごめんね。


でも僕は――


この広い世界のどこかで、


君の幸せな未来を願ってます。



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