第12話 夜明け
「は…?」
「えへ?☆」
いや、てへぺろみたいにしても事実は変わらないよ!?
「いやいやいや、どうするのさ!?僕寄生されちゃったってこと?根っことか生やされちゃうの!?」
「失礼ね!私のことなんだと思ってるのよ!?」
「人の形をした植物でしょ!!」
「植物の精霊よ!!本当は魔物でもないんだからねっ!!」
「そうなのっ!?」
びっくりだわ!魔物じゃないのか、というか精霊とかもいるのかこの世界。なんかほかにも色々いそうだなぁ。
「もう、だからあなたの体から根っことかは別に生えてこないわよ。やらなければ…(ボソッ)」
「え、やらなければ!?生えることあるんじゃん!!根っことか葉っぱとかお花とかできちゃうんじゃん!!」
「し、しないわよ!命の恩人にそんなことっ!って、あれ…キャッ…」
「まだなんか起きるの!?うわっ!!」
手を離すのも忘れて言い合いをしていたら、急にリーファが光りだしたんだけど!
「あらら…魔力ずっともらい続けていたら成長しちゃったみたいね…」
「えぇ…」
ピカーーッってなって目をつぶって光が弱くなってきたかなってころに目を開いたらそこにはJKくらい?に成長した女の子がいました。つないでいた手も僕からすると、あれだ、万歳するみたいに上に手を挙げる形になりました…。背、伸びたね…(遠い目)
………。
…………。
……………。
いやいやいやいやいやいやいや、急に大きくなるなよ!?
なんだよ、成長しちゃった☆って!?というかまだ吸ってたのかよ人の魔力!?どういうこと!どういうことなの!?
あと、めっちゃきれいになったね!おっぱいも大きいね!その見た目年齢にしてお母さまレベルじゃん!やったね!
ちがわいっ!そういうことじゃないやい!!
「あら、やだ。私ったらまだ魔力もらっていたのね///」
「えぇ~~~~」
「あら、カイト?大丈夫?カイト?」
あぁ~、僕をゆすると頭の上のおっぱいも揺れてるんじゃ~。今日も世界は平和じゃ~~。
「もう、ちょっと!しっかりしてよ!カイトってば!」
スパーーン
「イッタぁ!!何するんだよ!」
人の頬っぺた両側を挟むようにひっぱたくんっじゃない!痛いじゃないかっ!
「だってカイトがいつまでたっても呆けているんですもの!」
「呆けているって…僕だってこんなにわけわからないことが立て続けに起きたらびっくり通り過ぎて呆けもするさ!なんだよ!根付いちゃった♥からの、大きくなっちゃった☆って!いろいろ大きくなり過ぎでしょ!」
「やだ、どこ観ながら言ってるの!5歳のくせに!」
「今そこじゃないよ!」
「でもなんか目線がいやらしいわよ…まぁ、いいわ、とにかく聞きたいことだらけってことよね?私自身わかっていないこともあるけど、現状説明できる範囲で教えてあげるわね?」
「なんか偉そうだよね…」
「もう、茶化さないで!で、まずは根付いちゃったってことだけど…」
「うん…」
――――――――――――――――――――
とりあえず、どうしてこんなことになったのか、なんでこんなところにいたのか、なんかいろいろ聞いたけど簡単に説明すると、根付くってのはドライアドが最終的な地として住むと決めた土地に溶け込むことで、その土地の魔力や生命力といったものを共有して時に糧をもらいながらその土地を守ることなんだそうな。で、その根付くって行為をするときに土地に溶け込むわけだけど、やり方はついさっきのようにその土地の魔力を受け取って自分の体の中に満たすことで1つとなるのだそうだ。
つまり、今回僕の魔力が多すぎて調子に乗ってもらいまくっているうちに根付くのに十分な量の魔力を受け取ってしまったせいで僕自身と完全につながってしまったらしい。いや、どんだけあるんだ僕の魔力、どこぞの土地並みなの…?
リーファ自身も人に根付いたなんてことは聞いたことがないらしくて戸惑いの方が大きいらしい。僕自身もかなり戸惑っているんだけどね?
で、次に大きくなったことに関しては魔力もらいすぎたせいで小さな少女の姿ではおさまりが悪くなったため、体が勝手に成長したそうだ。もともとドライアドという精霊はその内包する魔力量で見た目も結構変わるらしい。一定の能力が備われば見た目を自在に変えることもできるようになるらしいがリーファはまだ苦手とのことだ。
つまり!このボインボインを堪能できるということか!ムフフ。
「カイトなんかヤラシイ顔してるわよ?」
「そ、そ、そんなことないよ?」
「目が泳いでるわよ…。まだちっちゃいのにずいぶんとおませさんなのね?」
「えへへ」
まぁ、精神年齢はもっと上ですからね…
「いいけど、どうしようか?ずっとこの中層にいるわけにもいかないものね?」
「うん、そうだね…」
一応血なまぐさいエイミングモンキーの死体たちからは離れて大きめの木の下で休めそうな洞があったから、そこでこうして話していたわけだけど…
「もうすぐ夜が明けちゃうんだよね、あぁ、さすがにまずいなぁ…」
「何がまずいの?」
「あぁ、それはね…」
そうして次は僕のことを簡単に話すことになった。
――――――――――――――――――――
「そっかぁ、カイトってその年の子供にしては既に頭おかしいんじゃないってくらいの能力だけれど、本当におかしな子だったのね…」
「人の話聞いてた!?」
自分がこの魔の森で拾われた捨て子であること、拾われた先は4人家族でそこでかなりいい暮らしをさせてもらいながら、幸せに暮らしていること、最近になって剣の稽古が始まったけど実はもっと小さいころから勝手に森に入って魔物と戦っていたこと、そんな感じの僕の今までの大体を伝えた。そこまで信用していいのか?って感じもしなくはないけど、なんかリーファって悪い子ではなさそうなんだよね。感じる氣も穏やかで姉さんたちやお母さまのようなぬくもりを感じるんだ。
まぁ、別の世界の前世の記憶があることとかは言っていないけどね。
「ごめんごめん。ちゃんと聞いていたわよ。でもそうなると今日でこっそり森にはいっていたことは完全にバレちゃいそうね?」
「やっぱりそうだよねぇ…」
怒られるかなぁ~。この世界に来てからこういう感じのことで怒られることはなかったら、(マリア姉ちゃんへのいたずらは除く)なんだか怖いなぁ~。
「でも、いつかはこうなる日も来たんじゃない?それが早まっただけよ」
「そういうもんかなぁ」
「そうそう。もうどうしようもないから、正直に謝りましょう?私のせいでもあるから一緒に謝ってあげるから、ね?」
「うん…」
「もう、そういうところは年相応って感じね。仕方ないわねぇ、ほら」
「ちょ、なに!?」
ほらって言いながらリーファが突然僕を両手で持ち上げてそのままギューッと抱っこしてきた。
「ほら、こうしたら落ち着いた?」
「うん、ありがと」
なんか、もっと小さかった頃にお母さまに抱っこされてた時みたいな安心感があるや。ちょっと照れ臭いけど、もう少しこのままでいたいかな…
そうして何分経ったのかはわからないけど、気付けば暗かった森に光が差していて―――
「うぅん?あれ、いつのまにか寝ちゃってたのか。リーファ、もうほんとに夜明けだよ。そろそろうちに帰らないといけないんだ」
「うーん、あら、私も寝ちゃっていたのね。おはようカイト。うちってカイトのおうちよね?」
「そうだよ?ほかに行くべきところでもあったの?ここら辺の異変を確かめに来たってことだったけど」
「いえ、どこか寄りたいところがあったわけじゃないの。ただ…」
「ただ?」
「ほら、私にも帰る家っていうかそういう場所があるのよ」
「あぁ、昨日言っていたお母さまっていうドライアドのところね?」
「えぇ、お母さまに会えれば今のカイトに根付いちゃった状態ももしかしたらなんとかできるかもしれないのだけれど」
「そっかぁ、確か常に僕の魔力を吸収しないと生きていけない状態になっちゃったんだよね?」
「そうね、常にといっても大した量ではないけれどね。あなたに何かあっても基本的に魔力を吸い取ってしまうかもしれないもの…。さすがに命の恩人にそんなことはできないわ。だからこの状態を何とかしたいのだけれど」
「でもさ、僕の魔力は膨大なんでしょ?根付くときに吸った量でも全然何ともなかったし」
「そうなのよねぇ、普通1人の人間族が持っているような魔力量ではないと思うのだけれど、なぜか本当に何ともないのよねぇ」
「リーファが嫌じゃなければ僕はいったんはこのままでもいいよ?」
「え、私は別に嫌だって意味で言ったんじゃ…」
今はまだ幼い僕の外見なら抵抗感も少ないだろうけど、将来的には前世みたいなあれになるわけだし、この世界の人たちはリリカちゃんやセトラムにしろ結構美形が多いんだ。そんな世界で僕みたいな外見のやつじゃリーファも可哀そうって話だよね…
「カイト?」
「うん?」
「どうしたの?急にそんな暗い顔して?」
「いや、ほら、僕って魔力量にしろ、生命力にしろ色々と普通と違うでしょ?だからさ…」
「カイト!」
「ムギュッ」
僕の名前を呼びながらリーファが左手で僕のほっぺを挟んできた。昨日と違って痛くはないけど…
「私はドライアド、精霊よ。確かに精霊によっては性別を気にする種族や美醜にこだわる種族もいるわ?でもね、少なくとも私たちドライアドは見た目なんて気にしないわ?私たちは相手の内面や雰囲気、気配なんかを気にするの。だからあなたが自分のその黒い髪や黒い瞳をどう感じていようが私たちは見た目なんてぜんっぜん気にならないんだから!分かった?」
そう言って、優しく微笑んでくれるリーファ。うん、やっぱりこの子は優しい子なんだな。
「うん、わかったよ。ありがとう。リーファ」
「分かればいいのよ!さぁ、次は一緒に謝りに行くわよ?」
「う、うん…」
あぁ、そんなミッションが待っていたわぁ…
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