不思議なアパート

小久保 さち

第1話

ある日の夕方、仕事帰りに友人だと名乗る女性が声をかけてきた。


私はこの女性に見覚えは無い。


人違いではないかと何度も否定する。


しかし彼女は私の昔からの友人だと言って聞かない。


彼女の名前は織田みのり。


嬉しそうに話かけてくる姿は確かに親しみを覚える。


そして、不思議な事に2人しか知らない出来事をサラリと言ってのけるのだ。


やっぱり私が忘れているのだろうか?


頭の中で考えていると、今度は突拍子のない事を言い出した。


今日は彼女の自宅で私がお泊りをする事になっていると言うではないか。


そんな約束した覚えは全くない。


一体これはどう言う事なのだろう。


みのりは私の腕を引っ張り、急ぎましょうと促した。


彼女の家に行けば何か思い出すのだろうか?


そう考えながら、私は一緒に着いていく事にしたのだった。


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