第47話 家

「泣いてるのか?」


人前で泣くことなんて今までなかった

いつも我慢してこれたのに 

今日は止められなかった



私の顔を覗きこもうとする先生 

見られたくない一心で下を向く


バツが悪そうにティッシュケースを渡される

慰めの言葉もなにもない

泣いてることすらバカみたいに思えてくる


「もう大丈夫です」

「行きましょう」

 

あの日の先生の部屋に通された

先生は魚に餌をあげながら

「やってみる?」なんて呑気に言ってる



「勉強教えてくれるんですよね?」

「宜しくお願いします」



「あーそうだな」

「これやってみて」



先生が作ったプリント集


「俺もやることあるから終わったら言って」



そう言い終わると書斎に座りパソコンをやり始めた


気になってチラチラ見てしまう

急に何かしてくるかも!?

ずっとパソコンに集中している先生



途中でコーヒーまでいれてくれ

ちょっと警戒して飲まずにいると

「何も入れてないよ」

「これでも一応教師だから笑」

「砂糖とかいるか?」



なんだかちょっと気を遣ってるくれてる感じがした




時間いっぱい教えてもらい

何もなく無事に家に帰れた



勉強をたくさん教えてもらうだけの日

嘘ではなかったんだ







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