おたくの姫様もらいます!

朝霧楓葉

プロローグ Ⅰ


 引き金を一つ引くたびに。


 仲間を一人失うたびに。


 自分の中から大切な何かが一つ消えていく。

 消えゆくのは言い表せない何か。

 ただ一つ確実に分かるのは本来の自分、吾妻アズマ新太郎シンタロウという存在そのものが希薄になっていくということだけ。


 ーーーでは俺はどれだけ奪って、どれだけ亡くしたのだろうか。


 もう誰を殺しても、誰が死んでも何も感じない。

 自分が自分である確証なんて既に無かった。

 そして本来の自分とはどんな存在だったのか。

 今はもう分からなかった。


 ーーー人前で浮かべるその表情は本物だろうか。

 きっとそれは他人が求める表情を浮かべているだけなのではないだろうか。

 もしそうだとしても、それを続けなければならないことはわかっている。

 今までも、おそらくこれからもーーー

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