第11話 あまりにかわいくて
放課後
俺とヒカリは一緒に下校していた。
一応付き合っているという名目なのだから、毎日一緒に登下校しよう。とヒカリが提案してきたので、それに同意したのだ。
昼間の学食で、ドク男が言っていた事をヒカリに話す。
「弱みを握られたから、ミウちゃんは付き合ってる?」
「そうなんだよ〜ドク男の観察力だけは俺も認めててさ。フィギュアのこの部位が他のヤツよりこっちの方がいいからこっち買うでござる!とかアニメの作画が前回と少し違う!手抜きでござる!とか言うんだけど俺にはまったく同じに見えるんだよなぁ」
ハァ〜とため息をついて、おデコに手を当てるヒカリ。
「アキラくんは観察力ないもんねぇ〜」
グサッ! そうなのか…?ヒカリはたまにひどい事を言う…
「それでドク男くんは2人に何か違和感を感じてるってわけなの?」
「そうなんだよ。俺には普段と変わらないように見えたけど、ドク男から見たら違和感を感じたのかな?ってね」
「なるほど…そうね…」
ヒカリがあごに手を当てて考える。
これはヒカリの小さい頃からのクセだ。
何か重要な事を考える時に出るが、本人は全く気付いてない様子。
すると考え事が終わったようで、上目遣いで俺の方を向いてきた。
「アキラくんに一つ聞きたいのだけど…」
(な、何だろ…)
「ミウちゃんの弱みって、なにかあるのかしら?」
「ん?」
そういえば、と俺も考えた。
ミウの弱み?なんだろう。今でもぬいぐるみと一緒に寝ている事とか?いやミウがまだ小さい頃、今では想像つかないくらい泣き虫だったとか…そういえば昔のヒカリもだいぶ泣き虫だったな…なんか懐かしくなってきた!
…そんな事を考えていたら
「アキラくんちゃんと考えてる?」
「お、おう」
考えが脱線してしまった。
えーっと、ミウの弱み…弱み…弱み…
「あれ?思い当たらないな。ミウ程完璧な女の子はいないくらいだ」
ガクッとヒカリがうなだれる。
「どうした?ヒカリ」
「いいえ。なんでもないわ!」
(ショックを受けていたなんて言えない!)
コホンッとせきをしてヒカリは
「そうなのよ。私の知る限りではミウちゃんは弱みを握られるほど、弱みなんてないのよ」
「うん。正直俺もミウの弱みは考えつかないなぁ〜この妹大好きな俺が妹の弱みを知らないのに、どうして一条ハジメは弱みを握れたんだ?」
「そう。そこが一番不思議なのよねぇ〜。だけどこれはあくまでも弱みを握られてるって話が前提だから、もしかしたらドク男くんの勘違いって事もあるわね」
「ふむ。あのドク男が勘違いかぁ〜まぁドク男だしその可能性もあるか」
「アキラくんさっきドク男くんの事結構信用してなかったかしら?」
「ハハハ!なんの事やら!」
「ドク男くんかわいそうに…でも、こうなったらやっぱり方法は一つしかないわね!」
「恋愛マスター!何かひらめいたの!?」
左手を腰に、右手は俺をビシッと指差し
「本人に直接聞く!!!!」
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自宅 19:00
食卓を囲んでいるのはミウ・ヒカリそして俺の3人である。
あの後ヒカリが
「今日さっそく3人で晩ごはんを食べましょ!私が料理するから心配しないでね。アキラくんはミウちゃんにその事を伝えておいてほしいの。お願いね?」
そう言って家に帰って行ったヒカリを見届けた。家に入っていった事を確認し、俺も帰る。隣の家なので徒歩10秒で着いた。
その後ミウの部屋に向かい、ミウと話すのに緊張で手が震えるがなんとかふんばりドアをノックし、晩ごはんを3人で食べることを伝えた。
「ヒカリさんが家に?…わかった」
とドア越しに言われ今のこの状況に至る。
ヒカリが作ってくれたのはカレーだった。
ゴロゴロ野菜入りカレーで俺たち3人の好物なのだ。
「「「いただきます」」」
手を合わせてカレーを頬張る。
うまい!うまい!うまい!久しぶりにヒカリのカレーを食べた。
ヒカリとミウは食べながら、女子ならではの雑談をしていて、俺は会話に入れず一人黙々とカレーを食べた。(ミウが可愛すぎて話せなかっただけだが)
全部たいらげて俺は空になった皿に手を合わせ
「いやーうまかったぁ〜!ごちそうさまでした!」
「ふふ。お粗末さまでした。私達まだ半分しか食べてないのに食べるの早すぎだよアキラくんは。ね?ミウちゃん」
「兄さん…良く噛んで食べないとダメ」
「そ、そうだな!あまりにかわいくてな…ハ、ハハ」
「「かわいい?」」
「ッ!!い、いや!お・い・し・いだ!おいしいからついつい一気に食べちゃったんだ!何言ってるんだまったく!アハ、アハハハ」
(イカンッ!!!!!!!ミウの顔を見ながらしゃべったら、思ったことがつい口から出てしまった!!!可愛い、可愛すぎる!ミウを見ながら食べるヒカリのカレーはやっぱり別格だ!ありがとうヒカリ)
内心、ミウとヒカリは
(アキラくん…どんだけミウちゃんの事可愛いって思ってるのよ)
(兄さんノロケ?…どんだけヒカリさんの事可愛いと思ってるのよ)
ハァ…と2人は同時にため息をついた。
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