第3話 飽くなき努力
ヒカリ視点
アキラの幼馴染であるヒカリは奈落のどん底に落とされた気分だった。
「アキラくんがミウちゃんを…好き?」
まだ現実として受け入れられていないヒカリ。だがアキラくんが家に来てヒカリに相談した事実は逆立ちしても覆らない事実なのである。
今日アキラくんから久しぶりに電話があった時は心臓が止まるくらいびっくりした。
いきなり「恋愛相談がある。ヒカリにしか相談できない」なんて言うんだもん。ドキッとして部屋の掃除3回もしちゃった。
もしかして私の事が好きで告白しに来る…?なんて甘い想像もしたし、アキラくんが久しぶりに家に来るってだけでも嬉しかった。
なのに…
「妹のミウが大好きで、付き合いたいんだ。相談に乗って欲しい」
初めは冗談かと思った。だけど話を聞いているうちに(あ、これガチもんだ)って察するくらい目が本気で、言ってることも真実味があった。
(悔しい)
初めて私はそう思った。
アキラくんはモテるし、勉強もできてスポーツも万能。おまけに大豪邸に住んでるしまさに女子の憧れの的で、学校中、いや街中の女子からモテているはずなのに誰とも付き合ったという噂を聞いたことがなかった。
それは私のためだとうぬぼれていた。アキラくんを幼稚園の頃から好きでミウちゃんのことも同じくらい好きで、だけどそのうちアキラくんへの好きが、ミウちゃんの好きとは違う事に気付いて、これが恋だってわかってからずっとアキラくんの事を見てきた。
アキラくんにバレないように。好きって悟られないように。
そうすればいつも側にいる私の事を好きになってくれるんじゃないかって勝手に思ってた。だけど違った…
だから妹のミウちゃんを好きって知って、悔しかった私は冗談でこの作戦を言ってみた。
なにかの恋愛漫画にあったセリフをそのまま言ってあげた。漫画ではなんだその作戦!ふざけてんのか!ってなって別の作戦を主人公と幼馴染が建ててる間に恋心が生まれるって話だったのに、アキラくんは信じてしまった。その軽い悪ふざけで思いつくような冗談に本気になっていた。
(なんであんな事言っちゃったんだろう…)
後悔してももう遅い。アキラくんはなぜかわからないけど恋愛マスターって呼ぶし、付き合ったこと一度もないのに何人もの男と付き合ってるっていう噂を信じて私の所へ相談しに来てくれた。今じゃその噂は逆に私にとってありがたいチャンスなんだ。
「理由はどうあれアキラくんが私の言うことを聞いてくれる…」
初めは冗談で言った「私の言うことは何よりも最優先…」それをアキラくんはミウちゃんのために了承した。そのことも悔しかった。
だから私はアキラくんと私が付き合えるようにこれから行動する。
ミウちゃんには本当に悪いけど私はアキラくんとずっと一緒にいたい。
出来ることなら私とアキラくん。そしてミウちゃんが仲良く暮らす未来にしたい。
「だから私は…アキラくんと付き合ってみせる!」
そう宣言した後、ふと自分の身体を鏡で見る。
「少し太っちゃったかな…よし!腹筋して少し痩せよう!アキラくんのために!」
こうして幼馴染の飽くなき努力は続いていく…
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