40過ぎの恋心

いつか

第1話 プロローグ

数年前に心臓病を患い、ペースメーカーを入れてから5年が経った。

まさか30代でペースメーカーを入れる事になるとは、夢にも思わなかった。

スーパーでレジ打ちや商品陳列と、初めてのサービス業で不安だったが、同僚とも仲良くなり、そこそこ順調だった。

今までは腹が立ったらすぐ辞めてきた仕事。

しかし、今回は仲間も居るし、大きな失敗もない。

気付いたら1年を過ぎていた。

もう歳だし、自分のライフスタイルも確立させないとと、思って仕事にも更にやる気が出てきた矢先の出来事である。


職場の駐車場に車を停め、更衣室まで歩くだけなのに、「は~っ💦は~っ💦」。

全速力で走った後のような息苦しさで、自分でもおかしいと思ったが、2~3日それが続くので、検査に行くことにした。


近所のかかりつけ医に行くと、「すぐに紹介状書くから大きな病院行って。」と言われ

、市内の病院に。

担当医は女医で、「すぐ入院して。」と言い、診察室に戻っていった。

その後、両親が来て入院の手続きをして、帰って行った。

この日はあっという間だった。

午前中にかかりつけ医に行くと、すぐ大きな病院に行けと言われ、病院に着いて即入院。

大した説明もないまま、四人部屋の廊下側の一角のベッドに。

数日かけて俺の精密検査をして、今後の治療方法を考えていたらしい。

初めは1週間くらいで退院の予定だったが、薬のマッチングがうまくいかなかった事、ペースメーカー手術の予定が遅れたことが重なり、退院出来たのは結局1か月程掛かってしまった。


1年は様子を見る。これは表向きで本当はただ1年は遊ぶ、だった。

とはいえ、実家暮らしで衣食住には困らないが遊ぶ金はない。

しかし、人生面白い物で不思議な形でそれが手に入ることになった。

実は入院する少し前、仕事帰り車で家に帰る途中に横から突っ込んできた車にぶつけられ、俺の車がひっくり返ったのである。

幸いシートベルトをしてたので、衝撃で割れた助手席の窓ガラスの破片が腕にいくつかめり込んだくらいで助かった。


この事故の相手は、50歳前後の親父で事故当初、ボーッとして警察にも病院にも電話をかけず、被害者の俺があちこち電話をかけたのである。

事故を起こしたことで動転したとはいえ、未だに納得いかないこの親父の態度。

で、この事故の示談金で30万くらい入ったので、この金で遊ぶことが少しは出来たのだ。

でも、遊ぶと言っても友達も居ないので、専ら一人カラオケの日々。

一人旅は近場の阿寒や札幌にも行ったし、昔の友達と東京にも行ったが、結局また家が中心の暮らしになる。


そんな生活もやはり飽きてくると言うか、人間働きたいと思うのである。

母はパートだが、父親は年金暮らしで、俺も働かないと暮らしが厳しいと父親に散々言われてきた。

言われることはもう耳たこだったが、実際に心から働こうと思ったのは、自分自身がヤバイ!とある種、実感したからなのかもしれない。

そして、ようやく令和元年に動き始めるのだが・・・


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