運んだ後の未来
@bangdoll0516
第1話 王道は事故から始まる
新精霊暦 1億5657万3350年
通常暦3350年
一人の少年が生まれた。
その少年はこの世界の者ではない異世界の者
その少年は俗にいうところの前世で中年という年齢に至り、その日もいつも通る交差点にスピードを落としきれない車が飛び込んでくる。
角度的に余裕があったため車を見ていたら老女が驚愕の表情をしているが、こっちが驚愕と思い、車の進行方向を見ると同じマンションの女の子がいる。
身体が無意識に動いた。とにかくダッシュ、中年のスピードでは間に合わない。それでも女の子を抱きかかえた。あとはとにかく、この女の子に傷をつけないように。歯を食いしばる。
衝撃が来た。それだけで手を放しそうになる。女の子を守ってその態勢で吹き飛ばされた。何とかこらえる。体中から痛みが悲鳴を上げる。そしてほどなくして、シャッターにぶち当たった。そしてそのまま地面へドスンと落ちる。とにかく女の子は抱えきれた。
やっと終わったか。長かった気がする。実際には数秒だろう。
すぐ近くの病院へ医師を呼びに行く人。女の子のお母さんもいる。やっぱり同じマンションの子で間違いなかった。女の子に「痛い所は?」思ったように声が出ないがそう聞くと聞き取れたようで「痛くない。おじさんありがとう」お礼を言われる。
そこで安心したのか眠気がすごい。耐えきれない。寝てしまおう。これが永眠だった。
次の記憶は霞のかかったような空間で創造神と名乗るある意味うさん臭い存在と話しているところ。
なんでも、創造神様が管理されている別の世界が、誕生以来魔力の消費量に供給量が追いつかないらしい。
これまでも危機に陥るたびに他の世界から少しずつ魔力を持って行っていたのだが、その必要もなくなる存在があった。
地球である。異常なまでに科学技術が進み、魔法など空想の物で「ある」とは信じられていない。
そのくせ魔力は創造神様の管理する世界の中でも群を抜いている。むしろ増えすぎていて危険領域。いつ魔力暴走を起こすか分からない。ましてこの規模で起きたなら星一つの問題ではなく、世界そのものに深刻なダメージを与えてしまう。危険物質扱いされるなら、それがないとされてるものなら有効活用しよう。創造神様の考えだ。
とはいえ、魔力の移動を世界を超えてとなると、何かと制限があるそうで…それらの条件それに合致したのが天に召された中年だった。。
何がどう合致したのか、それは魔力との融和性。ようするに効率よく質のいい部分をより多く運べる。それが中年。
運ぶのは良いけど、運んだあとが問題。知らない世界、知らない言葉、知らない食べ物、生き残れても不安は尽きないし、魔力と一緒になぁむ~ありえる
そんなことを考えていたのがばれたみたいだ。
「心配せんでもええ。創造神の使いとして魔力を運ぶ者に無碍なことはできんよ。」
「今準備しておるのは、120才の子供の体じゃ。赤ん坊からじゃつらかろう?」「それはそうですが120才ってもう大往生ですよ?」
「これから行く世界は人族を含め寿命が長い、人間族は1500才から1800才位じゃ。しかしそれはごく一般人の話じゃ。」
「おぬしがあちらで生きるための体は創造神制作の体。あちらの世界最強の筋力と魔力そして知性。平均よりも1割ほど高い身長そして均整の取れた肉体美」
「さらに、人懐っこい笑顔を持ち、冷淡な時には顔を見るだけで心まで氷り付く、両面を兼ね備えた超美男子だ。ちなみに不老不死じゃ」
「他に何か必要かの?願いでもよいぞ」
「では、地球での俺の全てを消し去ってください。そして、彼女(妻)が生活をゆとりもって送れるようおねがいします。」
「次に、俺の地球での記憶を全て消してください。120才の記憶喪失の男の子で始まりたいです。」
「他にはあるか?」
「新しく行く世界のアカシックレコード的なものと、地球の科学、技術、医学これらのう〇きみたいな奴が欲しいです。核は抜いてください。」
「もっと物質的な物を欲しがるかと思ったが」
「物質的な物?服は着せておいてください、あとお金がないと困るので使徒が持つにふさわしい金額を」
「ふむ分かった。ここでじゃが今後のことを知らせておく、おぬしは魔力を持ってあちらの世界にわたる。その時点で任務完了じゃ。じゃがそこでおぬしを放り出すわけにいかん」
「したがって最低30年は精霊王のもとで学ぶように。ちなみに、あちらの世界では精霊王が他世界の神の位置にある。」
「神様から学ぶって何かとまずくありませんか?」
「問題ない。そなたは神の使徒。ばれたとしても文句を言えるものはおらん」
「もうすぐ行ってもらうことになるが、他にはもうないか?」
「じゃあ、幸運ってあったらください、なければ結構です」。
創造神様の周りですさまじい数の魔法陣が結合分離を繰り返し、創造神としてないとは言えなかったのだろう。やがて大きな2メートルくらいの魔法陣が完成し体内に入ってきた。
「どれほどの効果があるか初めて作ったからの」
「どうもありがとうございます。」
次の瞬間。中年の視界が見事な細工が施された神殿の天井のようなところを見ていた。
「転送成功かの」
「あの世界の魔力不足も解消しよう。あの娘たちには本当に迷惑かけたからの。」
「創造神様からのメッセージだわ。」
「メッセージよりも魔力がいい」ガツッ!「いったいなぁ」
「メッセージ話すわよ・・・元気にしておるか娘たち」
「いつも魔力不足で苦労を掛けてきた。今回、そちらの世界を十二分に満たす魔力が見つかった。それでじゃが、譲渡する魔力が大きくてな」
「元の世界の人間族の魂を使った。彼には私の作ったからだと諸々ついてる。精査は任せる。あと本人の希望で120才の記憶喪失の少年となってる。
「彼の事はぞんざいに扱うなよ。そういう設定であっても神の使徒である。心せよ」
何この異質な魔力。これまでに感じたことのない規模の魔力。魔力が新しい魔力ともとからある魔力が融合していく。
魔力が融合し始めてすぐに変化があった。これまでは消費した魔力はほとんど霧散した。しかし、十分な魔力量で包まれると使用された魔力は霧散せず
包んでいる魔力に吸収されまた魔力となる。永久機関の完成である。7人いる精霊王はここにきてやっと人心地着いた。
7人の精霊王、光、闇、雷、この3種の属性は上級属性と呼ばれるが精霊王には序列はない
火、水、風、土、基本属性と呼ばれる属性。しかし、上級だから基本だからで性能は変わらない。結局使う人の技能次第。
精霊王は創造神にこの世界の管理を任されている。これまでは乏しい魔力をやりくりしながら、世界の調律と調和をもたらしてきた。
ここで勘違いされるのが人間の世界のためにと思うものが多い。しかしそれは違う。人間を含めた世界のために調律と調和をもたらしてきた。
しかし人間が勘違いするのも仕方がない理由がある。この世界はただ一つの宗教しかない。
その宗教がその名もずばり「精霊教」こちらで言うところの神の存在が7人の精霊王。
そして、この精霊王様方、たびたび地上で顕在しては国際行事に参加したり、学校の行事に参加したりとずいぶん自由
そしてそれだけ人間の生活に入ってくるから精霊王様は人間大事で、世界の調律、調整ついて人間に合わせてくれてると勘違いする
人間は所謂エンシェントモンスター。知能が他の魔物に比べて異様に高いのが特徴の魔物である。近い知能を持つのはエンシェントドラゴンのみ。
つまり、精霊王的には交流が持ちたいわけで決してない。純粋に遊びたいだけの感覚である。
魔力のことで気持ちが少し抜けていたが、水の精霊王が
「いけない!使徒様!」
その言葉に皆ハッ!として使徒のところに来ることになる。
使徒は着いてからずっと知識のすり合わせをしていた。中世のイメージしてたが感覚的には17世紀くらいから20世紀半ばくらいの文明レベルと判断した
やけに幅が広いが実際に見てみないと分からない。なにせ一番長く続いてる国家が「精霊教」の聖王国1億8900万年、次がバチサレム共和国で1億8800万年
そのあとは大きく開くチャオズ王国4120万年この差は何か検索してたら、聖王国とバチサレム共和国この2国以外は全て貴族制の国。
手本があるのに何故やらないか、やろうと試されたことは星の数ほどあるが隣国が妨害する。貴族制ではない国が隣にできるのは迷惑極まりない。
平民は道具とみなしてる貴族たち、それに対し反逆する平民。そこで勝ちきれないのが教育の差だな。道具に教育はいらない、従順であればいい。
使徒は、ふと、この文明の差について考えを切り替えた。それと地球との類似性が数多くというよりほとんどだった。
ただ石油、石炭もなく燃料元は全て魔石。魔石を使った道具は全て魔道具と呼ばれる。この辺りは燃料の違いで普通に納得できる。納得できないのが産業の進み具合の差であり、産業の育成度が1億8000万年以上進んでない事。
街中でリムジンは走ってる。しかし船は木造。しかも帆船。畑は魔道具はなくすべて手作業。リムジンという存在があるだけで、船には溶接、機械(魔道具)動力。畑でもトラクターなどの存在が想像できるのだが知識にはない。そして技術革新がこうも長く止まっていることも知識にはない。
ここで、考え事していた使徒が座っている階段の下に7人の女性が膝まづき頭を垂れているその背中には7対の羽。ちなみに5対が上級、4対が中級3対が初球。
「使徒様、この度の魔力譲渡運搬の任、誠にありがとうございました。」
すると使途は
「自分は記憶を持たない120才の人間にすぎません」
「どうか、お顔をお上げください。」
甘い声、悠久の時を過ごす精霊王でさえ心が揺らぐ。危険な声。(何?きっと使徒としての魅力の部分もあるんでしょうけど、私たちでこの状態。このまま人間の社会なんて行かせたら・・・無理ね。)
(びっくりした。これは、ちょっと。あの声が地声なんだから、別の声を習得させるべきね。)
何も始まってないのにやることは決まっていく。そして精霊王達が顔を上げ目を見開く。そこには精霊王ですら驚く美少年がいた。
思わず不躾に見てしまった。代表して光の精霊王が謝罪する。
「創造神様が超美形にしておいた。とおっしゃってましたが本当に?」
精霊王たちはうなずく
(私たちに負けない美形に、あの声。何万のハーレム作っても納得してしまいそうです)
使徒は精霊王たちに聞いた。
「これからお世話になります。この後はどうしたらいいでしょう?」
精霊王達はこの時堕ちた。使徒であるのに下位者である自分たちに頭を下げ、史上最高レベルの美少年のはにかんだ笑顔、少年の成分も多分に含まれていながら魂まで震えるその魅惑的な声。本人たちにまだ自覚はない。しかし堕ちたのは確実にこの時。
「今日はもうお疲れでしょう。食事の後、湯浴みをして、休んでいただきましょう。いかがでしょうか?」
「よろしくお願いします。」
二コリの笑顔付き&魅惑の声食事は上級精霊が作った。ここで炸裂使徒の下位者へのお礼、超美形二コリ笑顔、魅惑のボイス早くも3点セットと化してるが、それは同時に精霊さん堕としツールとして結構長い時間使われたため、かなりの数の精霊が使徒の虜になった。虜というより愛したが近い。使徒の成人後この精霊さんたちは
大活躍するのである。
怒涛のというのがふさわしい1日を終え、使徒のために用意された部屋に案内された。瀟洒で豪華,イメージとしてそんな感じ。
全てに手間暇がかかっていることだけは分かる。でも観察する気力なし。おやすみなさい。
翌朝、気持ちよく起きた使途はトイレの後、途方に暮れた。洗面所はどこ?とりあえず昨日入ったお風呂に向かう。その時気づけばいいのにお風呂から
寝室までの間何もなかったこと。そして、迷子になって、そして僕は途方に暮れる。
そんな使徒を水の上級精霊が見つけて寝室まで送り届け洗面所までの行き方をレクチャー。ここで驚異の3連コンボ炸裂。
思わずふにゃりと座ってしまった上級精霊にびっくりした使徒は上級精霊の顔を見上げる。目と目が合う。上級精霊はたまらなくなり口づけをする
お察しのとおり精霊との口づけは最も濃い、深い契約である。ちなみにこの上級精霊水精霊のナンバー2であった。つまり、精霊王以外の精霊のトップ。
これは激震が走った。しかし1カ月もしないうちに上級精霊3人。光、雷、風の上級精霊で案の定トップかNo2であった。しかしこれ以降契約精霊は増えていない。これは際限なく契約するのは控えたほうがいいと使徒が判断し、契約に至ったシチュエーションにならないよう気を配ったからである
契約精霊が多いことは良いこととされている世の中からしたら奇異に見えるかもしれないが以前の記憶の論理感が出たのかもしれない。
しかし、契約した光、雷、水、風の4人の上級精霊は使徒が4人で契約を止めたことにすごく歓喜していた
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