【幕間】イーストウッド国とクレス

~ここは中央ちゅうおう大陸たいりく位置いちするひがしくにイーストウッド王国おうこく



 この地方ちほう比較的ひかくてき気候きこう安定あんていしており、放牧ほうぼくさかんな地域ちいきである。



 また山々やまやまには食用しょくよう魔物まものおお生息せいそくしており、狩人かりゅうどとして生計せいけいてているみんおおい。


 東側ひがしがわうみでは、海産物かいさんぶつれるので、漁港ぎょこうとしても人気にんき地域ちいきひとつだ。



 大陸たいりくとの貿易ぼうえき頻繁ひんぱんてきおこなわれており、くに比較ひかく定期ていきうるおっていた。





 なによりもこのくにには、中央ちゅうおう大陸たいりく最大さいだいのダンジョンがあり、このダンジョンを攻略こうりゃくしたものは巨万きょまんとみることが出来できるとつたえられている。




 ――そう、この国家こっかすうひゃくねんまえにある最大さいだいのダンジョンを攻略こうりゃくしたひとがダンジョンの物資ぶっし持ち帰もちかえり、くにこしたとわれている。



 このくに始祖しそおうも、元々もともと冒険ぼうけんしゃくにおこしたいちにんでもあった。



 イーストウッドおう13せいでもある、ハリー・フォン・イーストウッドおうは、4にん子供こどもがいる。



 だい王女おうじょのアリサ・フォン・イーストウッド。



 だい王子おうじのウェルダン・フォン・イーストウッド。



 だい王子おうじのミカエル・フォン・イーストウッド。



 そして、だい王子おうじのクレス・フォン・イーストウッド。




 跡継あとつぎにめぐまれ、そして人物じんぶつてきにどの兄弟きょうだい国民こくみんからの信任しんにんあつかった。つぎおうは、だれになってもくに安定あんていする。このさき安定あんていするだろう。



 ………だれもが、そうおもわれていた。





 そう――あの事件じけんこるまでは。







~王国歴1115年~



 クレスは、山の頂に来ていた。

 多くの王宮魔術師、イーストウッド騎士団とともに。



 「さぁ、クレス殿下でんか、これより最終さいしゅう試験しけんはじますのじゃ。用意よういいかの?」

熟練じゅくれん魔術まじゅつだん老師ろうしうのだ。

 「はい、師匠ししょう。いつでも大丈夫だいじょうぶです!」

このときクレスは成人せいじんえた15さいのころだった。


 老師ろうしは、つえ両手りょうてち、まえ突き出つきだした。その態勢たいせいのまま魔法まほう詠唱えいしょうはじめる。

  「わが大気たいき精霊せいれいねがう…、このみず冷気れいきめぐみをあたえん!」

 魔力まりょくうず老師ろうしまわりを包み込つつみこむ。そして解き放ときはなつ!

  「絶対氷結!アブ・ソリュートゼロ

 まえに10mぐらいのおおきなこおりやま出現しゅつげんする。


(うわ~すごい!これがしるべ奥義おうぎなのか)

クレスは驚愕きょうがくしていた。


  「さぁ、クレス殿下でんか、このこおりかたまりこわしてせなさい」

老師ろうしはこれをこわせとクレスにう。



 そう、これがクレスにとっての最終試験だった。


 クレスはおなじようにつえまえかかげ、詠唱えいしょうはじめる。

  「てんあまね聖霊せいれいよ、われのちからってほのおうずさん!」

魔力まりょくあつまってくるのがかる、のちはこれを解き放ときはなつだけだ!

  「炎壁風嵐!ファイアーストーム

ほのおかべ形成けいせいされるのと同時どうじかべからほのおかぜのようにい、氷結ひょうけつやまかって包み込つつみこんでいく。


 そしてクレスはつぎ動作どうさうつる。

 「かぜあつめ、ひかり形成けいせいさせ打ち砕うちくだく!セイントカッター!」

 さきほどのほのおかべかって一筋ひとすじひかりんでいく。そのまえにクレスはさらに魔法まほうとなえる。

 「わが守護しゅごする壁よ! われらをまもたまえ!フォローウィンド!」

ドッカーーーーーーーン!

 着弾ちゃくだん同時どうじ爆発ばくはつこす。その衝撃しょうげきはこちらまで着弾ちゃくだんするかにおもえた。


 しかし、クレスのまえ形成けいせいされたかぜかべによってこちらへは衝撃しょうげきない。


 落ち着おちついたときにはまえさきほどの氷山ひょうざんく、おおきく地面じめんがえぐれた残骸ざんがいのこっていた。


 みな唖然あぜんとしていた。

 (殿下でんかってこんなすごいどうだったのか………)

 (いやはや、これはすさまじすぎる………)

 みながぼそぼそとくちにする。


 「殿下でんか見事みごとですな。文句もんくなし合格ごうかくです。しかし、多重たじゅう詠唱えいしょうとは。殿下でんかすごさには相変あいかわらずおどろかされますな」

老師ろうしはクレスをまえにしてうのだった。


 「ありがとうございます老師ろうし! わたしは、このちからをこのくにため今後こんご精進しょうじんして頑張がんばります」

――そう、クレスは謙虚けんきょなのだ。






 権力にかさを着て見下す貴族は後を絶えないが、クレスが謙虚なのは上に居る兄の影響が大きい


――そう、

イーストウッド王族は民の生活を第一にして、元々先祖は一介の冒険者だったこと、そして勇者の力でこの国が成り立ってること。


 人の上に人を作らず、この方針のもと厳しい教育が施されていたのであった。


 この国の王ハリー・フォン・イーストウッドには、兄がいたのだが、傲慢な性格故、我は選ばれた存在と風潮したため処刑されていた。


 反面教師の悪い見本として、こういった人物は王族であっても処刑される、というのを、幼少のころから叩き込まれた教育方針によるものであった。



 第1王女のアリサ・フォン・イーストウッドは、ノーザンテースト帝国へ嫁入りしており、親交も厚く、事実上の同盟を組んでいた。


 第2王子のミカエル・フォン・イーストウッドは、近々グランドフォート王国へ婿入りするために出発する。


 構想としては親族が2大国家へ行くことで、事実上の同盟が組めるのであった。



 同盟を組む意味としては、国内に所有してるダンジョンが理由の一つだ。




 このダンジョン攻略にもたらされる恩恵は、一国を支えるのに過分すぎるほどの資産と恩恵があるのだ。



 軍事上においてこのダンジョン攻略は、まさに国家事業とも呼べる。


恩恵が最も大きいダンジョンの名前は【不帰のダンジョン】。


 しかしここ数百年攻略したものは誰もいない。

そして、生きて帰ってきたものが誰も居ないのだ。


 このダンジョン攻略に戦力のほとんどをつぎ込むためには、軍事上の同盟が絶対必要不可欠だった。





 ~王国歴1120年~



 1人の早馬から事件のきっかけになる。


 ミカエル・フォン・イーストウッドが国家反逆の罪で処刑されたとの報告だった。

これにより、イーストウッド国は同盟解消と同時に宣戦布告を受けることになった。



 しかし、間の悪い事にダンジョン遠征軍に精鋭を向かわせた後だった。



 それにより、防衛はするものの、わずか数日で王都は陥落してしまった。


 第1王子のウェルダン・フォン・イーストウッドは交戦中に戦死。

国王である、ハリー・フォン・イーストウッドは王都陥落の際に捕らえられ、公開処刑された。


これにより、国王、第1王子、第2王子の死亡したことになる。


 第3王子である、クレス・フォン・イーストウッドは、運よく冒険者として小さなダンジョンでレベル上げに勤しんでいたのだった。数人のパーティメンバーにアズラックがいる。



 そしてダンジョン入り口に戻ってくると、側近だった人が待機していた。

伝令からいきさつを聞いてクレスは、激怒した。アズラックからなだめられ何とか落ち着く。



 王都を奪還する! そういうが、戦力が足りず、王都奪還は不可能だと言われた。今は落ち延びるよう説得され、そのまま冒険者として過ごすことになった。


レジスタンスの基地には、最大戦力と言われていた勇者がいた。

名前はエリナ。イーストウッド国では最大戦力と言われた女性だった。

エリナのパーティメンバーにはアリーシャもいる。


共に、イーストウッド国を奪還することを誓い、力を蓄える事にした。



――――こうしてクレスは、両親と兄上の敵討ちを取ることを涙を流し、誓いを立てるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る