朝倉悠斗

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  あらすじ:悠斗ゆうとが居た


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―――こうして俺は、なんか嫌な予感がするので、逃げようと画策しようとしたときエリナに話しかけられる。


 「なあクウト、あの者は何者だ? 同じ気配を感じるのだが」


ああ、ここで話をしたら気付かれる!何とかごまかしてこの場を去らなければ!


 「気にしないでくれ! なるべく関わらないほうがいい」


エリナが聞いてきたので、俺は、ばっさり切り捨てる。


 この風景を見たら同じ世界から来た身としては頭を抱えたくなる。


 厨二全開で街中に叫んでいるこいつと同類にされたくない。 同行者は女の子のほうが多いじゃないか!

 …………まあ俺の方も大して変わらんけどさ。 それはそれ! これはこれ!


 今俺のそばに居るのは、エリナとアリーシャだ。 アズラックとクレスは後ろのほうで話し込んでいる。



 「お、お前クウトじゃないのか?」


ああ、関わらないで行こうと思った矢先、気付かれてしまった。


 そのまま無視してもいいんだが、どうせ追いかけてくるだろう。 仕方が無いから相手をすることにした。


 「ああ、悠斗ゆうと、久しぶりだな」


とりあえず、差しさわりのない言葉で返しておく。


 「聞いてくれよクウト、俺は勇者になったんだああああああ」


悠斗は相変わらずやかましい。 何が勇者だ。 ばかばかしい。


 美麗な装飾の施された蒼い鎧に身を包み、腰にはこれまた優美な長剣を携えている。


 なるほど。 お伽噺でいう勇者のテンプレートのような恰好をしているな。 一旦は無視しようとしたが、こいつが今まで何をしていたか気にならないこともないので、聞いてみることにした。



 「悠斗、こんなところで何してるんだ? 」

 「ああ、クウト聞いてくれよおおおおおおおおおおおお」


とりあえず俺の事よりも、自分の事を話したいらしい。かえって好都合だった。



 悠斗が言うには、召喚当時から王宮に居たのだとか。 そこで姫奈ぴいなの捜索を真っ先に依頼して、すぐに見つかった姫奈を王宮に招いたのだという。


 そのあと皇帝しいざあも王宮に乗り込んできたため、そのまま3人で、一緒に城の偉い人から話を聞くことになったのだという。ああ、転生あるあるの出来事すぎる。あれだろ?そこに俺が居たらハニートラップかけられてつまはじきにされるパターンだろ?〇の勇者はこの国とって不要だとか何とかで。



 俺の考察は置いておくとしてだ、じゃあなんで俺だけ呼ばれなかったのか。解せぬ。 いや、ハブられたわけではなく、俺も捜索はされていたが見つからなかったらしい。 どうも俺の外見というか服装が変わっていたことと、 すぐにパーティに入ったので、捜索の手から漏れたのだと。


 そりゃあ確かに、普通は召喚直後なら1日ぐらいはそのままの服装で過ごすのが大多数だろう。 ましてや、召喚初日にパーティに入ってることなど、今までに前例が無いという。




 ――捜索の対象から外れてたのだ。決してハブられたわけではない。ないよね?



 「ところでクウト、今は何してるんだ?」


 ああ、悠斗から今一番聞かれたくないナンバーワンの質問が来てしまった。解せぬ。悠斗からとうとう、「なぜ俺が冒険者をやってるのか?」を聞かれてしまった。このまま聞かれないまま行方をくらますのは無理のようだ。



 「ああ、俺はな、冒険者をやっている」

 「なんでそんな地道な事をやってるんだああああああ? 王宮に来れば生活に困らないだけのお金は支給してもらえるんだぞおおおおお」

 「この国の闇に巻き込まれない為、俺は王宮に行くわけにはいかない。悠斗、わかってくれ」


相変わらずうるさいが、要点だけ言っておいた。



 それからしばらく、冒険者を続けると、なんで? の押し問答が続く。全く理解してなくて終始顔にはクエッションの顔をしていた。

(?ω?)のような顔だ。


 「クウトも一緒にこの国を救って勇者になろうぜえええ!姫奈も一緒だぞお」

 「一緒ったって、ここにはいないじゃないか。ほかの2人はどこに居るんだ?」

 「あいつらは、王宮で訓練中だ」


なるほど、王宮にいるわけだな。


 国を救って勇者になる、か。 皇帝しいざあはそうかもしれないが、姫奈ぴいなが王宮にいる目的は違うような気がするんだが。



 「なぁ悠斗、最近姫奈と会ったか?」

 「最後にあったのが三日前だな。――ドレスを着ていたようだが、俺には関係ないさ!」


うん。何となく予想がついたな。


 姫奈は戦力とみられるよりも、能力を上げるためというより、どちらかというと王侯貴族との交流に力を置いているようだ。



 ――なるほどな。 元々そういった考えはあったようだし、この世界に来てもやることは早々変わらないだろうな。俺は改めて、それを聞いて方向性は固まった。


 「まあ、頑張れよ勇者サマ」


そう言って立ち去ろうとした。しかし、悠斗にまわりこまれてしまった! なにか言いたいことがあるようだ。


 「ちょっとまてクウト。 俺と一緒に世界を救いに行かないのか? これは俺たちの義務だぞおおおおお」


そんなの知ったこっちゃない。 


 義務とやらで戦争の道具にされて使い潰されるなんてまっぴら御免だ。 そもそも俺はここの国民じゃない。異世界人だ。義務なんて日本国民の義務だけで充分だ。



 ――俺が守る正義は俺が決める! そう決意新たにするのであった。

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