宿屋へ帰ってきて部屋にて

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あらすじ:ギルドのクエストを終わらせた


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 町についた俺たちは、一度冒険者ギルドに戻ってきた。報告を済ませると、いくつかの役割の為に、一度別れることにした。




 討伐のお金の受け取りの為はクレスが冒険者ギルドに残る。

どうやらギルドの資産の管理をしてるのはクレスのようだ。メンバーの信用があるのだろう。さすがしっかり者!


 アズラックは、情報を仕入れにどこかに出かけた。

余計なとこに行ってそうな気がするか、プライバシーの侵害だし気にしないとこう。


 エリナとアリーシャは買い出しと、宿の手配などをするようだ。

女性組が補給係って感じだね。


――パーティでの役割はある程度決まっているようだ。





 今日の報酬は、おおよその概算で約15,000bitぐらいになるとの見通しとの事。

分配に関しては、夕食の時にまとめて話すみたいなことを言ってたっけかな? 堂々と受け取るのはなんか悪い気がする。夕食の時に相談してみるか。




 俺はエリナとアリーシャについて行くことにした。だって、無一文でどこかに行けるわけがないじゃないか。今日もいつもの所のようだ。どうもあそこの宿をベースにしてるようだ。



 ………そういえば宿の名前なんだっけかな?

アリーシャとエリナと俺の3人で他愛も無い話をしながら宿へ向かう。




――あった、ここだ



 宿の名前には【春風亭】と書いてあった。

しゅんぷうてい? はるかぜてい? どっちだろうな?




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そんなわけで俺は、昨日と同じ部屋にもどり、くつろいでいるところだ。




 アリーシャは心配だから私の部屋に来る?などと言ってくるが、違う意味で心配だから遠慮しておいた。


 ちなみに宿代は本日の報酬で支払うとの事で再び立て替えてもらっている。ここの宿代いくらだろうな‥‥? ちゃんと足りるのだろうか?


 そもそも俺は相場が良く知らんのだが。最悪足りなきゃ体を………誰が買ってくれるんだよ! 買ってくれそうな人は居るがな‥‥若干1名。



 今日一日の狩りの光景について、色んなことがあったと振り替えながら、スキルの確認をしてみる。




***




阿良々木あららぎ 空々くうと



習得スキル




異世界言語 能力向上+α




所持品収納(小)疲労回復(小)




毒耐性(小)魔法攻撃耐性(小)物理攻撃耐性(小)




短剣修練Lv1 スタミナLv1 敏捷Lv1




スキルポイント残り26




***



 ――うぉ、スキルポイントがめっさ増えとる!


スキルポイントがどうゆう理由か知らないけど増えている。この世界にレベルの概念は無さそうだからどうやって増えるんだろうな? 討伐数とかか? 


 それよりも、いつの間にか短剣修練、スタミナLv1、俊敏Lv1を習得している。素質はあったようだ。素質あってよかったぜ。ほんとに!


 昨日思った通り、おそらく自分からポイントを振らなくても、アクセサリーを持ってるだけで自動的に増えるスキルもあるという事だろう。それとも能力向上の効果なんだろうか?



 +αの効果はあえて気にしなかったが、モンスターを呼び寄せることに関係しそうだ。エリナにあった時に聞いてみようか?



 そう思っていたらドアからノックがしたので、開けてみると、エリナだった。


「クウト、そろそろみんな集まってくるからご飯食べに行きましょう」



 そう、この宿には1階に食事処があるのだ。日本みたいに部屋に持ってくるなんてめったにないらしい。そもそも日本でも旅館以外そんなサービス聞いたことないけどな。そもそもホテルはルームサービスだし。



 「エリナ、ちょっとでいいんだけど聞きたいことがあるんだ、部屋に来てくれないか?」


もうじき夕食にするとの事だが、その前に聞いておきたいことがあるので部屋に招き入れることにした。男の一人部屋に呼び込んでみたものの、変な事されるから、って断られそうだな。



 「聞きたいことってなにかしら?」


だが、予想とは裏腹にそんなこともなく、堂々と部屋の中に入ってきた。そのまま椅子に腰かけたエリナから言われる。




 「エリナも別の世界から転移してきたという事だけど、そのあたりについて少し聞きたいんだが?」


その前にエリナ、露出度高くないか? 狩りの時はもっと何枚か着てたはずだが?



「そうね、いいわよ。すこしお話ししましょうか」


こちらの気持ちなんてまったく気にしてないかの如く話を聞いてくれた。不用心過ぎないか?



 自己紹介の時に言ったように、最初この世界に転移してきた時は王宮に転移したとの事で、それはもう歓迎されたとの事。なるほど、王宮に転移されたら招かれる必要はないわな。招かれなかったけど、王宮にいなかったとは言ってないもんな。嘘はついてないな。



 ただ、転移された国が問題だった。エリナが転移したところは、ここから東に位置するイーストという国だったとの事。



 援助金をもらい、勇者として旅立ったところまでは問題なかったのだが、数か月後に同じ時期に転移してきた人が、行方不明になる事件が起こったという。最初は魔物やダンジョンなどに行って命を落としたものだと思っていたらしい。



 当時からグランドフォート王国と争いが絶えなかった。国からの召喚ではあったので、戦争にも巻き込まれ、命からがら落ち延びたとのこと。


 その上、イーストは敗戦してしまい、今現在グランドフォート王国の領地になっている。


 当時からグランドフォート王国には転移した人が数多くいたという事で、戦力の差は数以上に圧倒的だった。



 「なるほど、それで今は冒険者をやってるんだな」


そりゃあそうか。所属国家が無くなってるんだもんな。



 「………ええ、そうね」


どことなく悲しそう顔をするのは気になる。聞いたほうがいいのか? いや、余計なことは聞かないほうがいい。



 「しかし、追手は無かったってことか?」


俺はそういうと、エリナは残念そうに首を振る。



 やはり………………。消えた国とはいえ記録が残っており、そのために追われることも少なくなかったという。



 冒険者として活動してる時に知り合ったクレスとパーティを組み、アズラック、アリーシャの2人に知り合い、今に至るのだという。




 「そうね、私から少し注意というか、警告しておくわね」


ん? 注意なのか、警告なのかどっちなんだ?



 「なんだろうか?」


エリナはより深刻そうな顔をし始める。



 「もし、転移者と、露見するようなことがあれば、遠くない未来に王宮からの要請が来ると思うけど、お勧めしない………とだけ言っておくわ」


ほぉ、そうなのか。これ援助金を貰って金銭的な不自由からおさらばってか。……いや、警告されるってことは、それ以上に危険とかがあるってことだよな。



 今日知り得た情報だけだけでも結構危険な香りしかしない。細心の注意を払うべきなんだろうな。何も知らないまま王宮に行ってたら傀儡にされていた可能性も高い。


 知ってる者にとっては、知らない者を扱うのは容易い。

俺のいた国でも【情報は力じょうほうはせいぎ】っていうからな。


 「ああ、気を付けることにするよ。わざわざすまない、ありがとう。 俺、エリナに知り合えて本当に良かった!」


俺は本心からそう思う。


 「私は、自分の利得で動いてるわ、気にしなくてもいいの」


エリナは笑顔になり、そう言った。




 ――先ほどの街道の狩りを見てたらなんとなく予想はついた。狩りの時に聞いてみたのだ。「聖剣とか、この世界にあるのか?」と。



 他のアイテムは、エリナ自身はよく知らないと言うが、異世界から聖剣を持ち込んだ人もいたらしく、所持者が亡き後は国宝として祀られたり、新たな異世界からの来訪者に引き継がれたりするのだとか。



 こういったアイテムは、それぞれ付いている効果が違うみたいだ。



 エリナが知ってる範囲で存在するアイテムとして、先ほど聞いた聖剣と呼ばれる、光の斬撃が出る【エクスカリバー】。振るうたびに火球がでる鞭【ファイアビュート】。魔法攻撃を無効化する【イージスの盾】。必中効果のある【アルテミスの弓】。稲妻を呼び寄せる【雷神の槍】などがあるようだ。



 エリナのアイテムは、【女神のしずく】と呼ばれるアイテムで、俺と同じで形状記憶金属、魔法属性を増加させる魔法効果があるそうだ。



 …………俺のアイテムは何て名前なんだろう?どんな効果で、どんなアイテムなのかは、一切分からない。


 

 たまたま偶然なのか、俺とエリナのアクセサリーには魔物を引き寄せる【ヘイトリアクション】というスキルが自動で発動する効果が付いているらしい。




 エリナは自由に使いこなせているが、俺は未だ使い方が分からない。スキル一覧にもないしな。




 ――あの幼女は、とんでもないものをよこしたものだ。しかもだ、そんな効果があるなんて一言も聞いてないぞ。




 「ところで、昨日話した俺の友人が憲兵団に連れていかれた事だけど、その辺はどう思う?」


あんな奴らでも友人は友人だ。気になったので、エリナ聞いてみることにした。



 「そうね。私の見立てが間違ってなければ王宮で歓迎セレモニーでもやってると思うわ」


そうか。らくしてるのは解せぬが、とりあえずは安心そうだ。



 「当面は安全というわけか」


なるほど、異世界人は希少ではないかも知れないが、戦力という意味では貴重だからな。となれば俺が気にする必要もないか。



 すると、エリナはテーブルの上に両手を置き、顔を近づけて。



 「………助けに行きたいの?」


また悲しそうな顔をする。エリナの過去に何かあったのだろうか?



 「いや、俺にはそんな義理はない」


いや、俺はほんとにどうでもいい。皇帝だけは幼なじみだから、気にならない事もないが、あいつなら大丈夫だろう。




 そもそも、そこまで仲が良かったわけでもないし、皇帝しいざあに関してはリスクの説明をしたにもかかわらず、突っ走って助けに行く有様だ。




 朝倉悠斗あさくらゆうとについては、今のところ何の情報もないが。俺はまだ、この世界に降り立って1日目というのもあるが、俺自身ここまで、とんとん拍子に行くのは、まだ恵まれてるほうなんだろう。




――そう思っていたらドアが突然開き、アリーシャが向かってきた!



 「クウトく~ん、2人で一緒にご飯いこ~・・・ってげげ、エリナ!」


俺に飛びつこうと助走しており、エリナを見て止まろうとしたが、体勢を崩し転んでしまった。


 「アリーシャ・・・私に向かってげげって、なんでかなぁ~? そこのとこ詳しく聞いていいかな~?」


エリナは笑いながら言ったが殺気が隠れてませんよ。




 しかしこれはエリナが居てくれて正直ほっとした。居なかったらどうなってたんだ、俺。




――エリナがアリーシャを問い詰めながら、俺たちは食堂へ向かうのだった。

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